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青春はプールの中で7-16 - 03/16 Wed

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柿内が戻って来たのは結局栗山が連絡して1時間後・・・

「おそーいっ!何してたんだよー!」
「いや別に・・・オレの勝手だろ」

柿内がそう言うと栗山はパソコンを開く

「なんだよ」
「いやー、見てよー?ほらー見なよ?」

栗山がファイルをクリックすると動画が開始される

「っ・・・」

柚木の顔が映しだされて柿内は画面からもう目が離せなくなる

『会いたい・・・帰りたいっ・・・柿内のメシ食いたい』
「・・・」

柚木の声で再生されるその言葉・・・胸が痛い。苦しい・・・会いたい。触れたい抱きしめたい

『だからっ・・・だからっ!柿内の顔見たくなかったっ!柿内の声なんて聴きたくなかったっ!柿内と連絡取りたくなかった』
『でもオレはここでやりたい・・・もう少し自分を試して成長したい・・・』

柿内は口元を押さえてソファに座ると画面を見つめて優しい目で微笑みながらそっと画面に手を延ばす
愛しい。求めてくれている
柚木が何のために留学の決心をしたのか判っている。泳ぐため・・・強くなるため・・・認められるため・・・判っていたのに会いたくて自分で忘れていいだなんて言った癖に連絡が取れないことを拗ねていたのが恥ずかしくて・・・

『柿内に伝えて・・・オレの誕生日の頃に帰るって・・・』
『決心鈍る・・・オレ・・・な、柿内にはホントダメ・・・あいつにすげぇ甘えたくなるしワガママ言いたくなる。でも、泳ぎたい。ここで泳ぎたい・・・どっち取るかって言われても柿内の前では決められないと思う・・・それオレじゃない・・・そんなんオレじゃない・・・オレは』

柿内は画面を閉じる

「え?イイの?あー、なんならオレちょっと席外してあげようかぁ?」
「・・・バカ・・・でも泣きそう」
「ええ?!ちょっと泣かないでよ?気持ち悪い」
「さっきまで大泣きしてたてめぇが言うなアホ」
「えー!!!オレ褒められてもいい仕事したよねぇ?嬉しくないのぉ?!」

柿内は栗山の頭を叩くと「嬉しいに決まってんだろバーカ」と照れ隠しにもう1回叩いた






「クリスマスってことはさー、柿内くんの誕生日寂しいよねぇ?」
「・・・別に」

元々祝ってもらおうだなんて思っていないし、柿内にとって別にどうでもいい話

「あー、今年の誕生日プレゼントオナホとかにする?」
「なっ」
「え?使うよね?オナホ。柚木先輩いなくて寂しいし」
「要らねぇしっ!」
「え?あ!使ったことない?んじゃ送ってあげるよー!」
「お前・・・あれ、18歳未満購入禁止だぞ」
「何言ってんのー?オレもう18さーいっ!」

栗山の誕生日なんて気にしたことなんてなかったけれどもう誕生日が来ていたのかと思うと栗山は笑う

「昨日!オレの誕生日」
「は?」
「あーあーいいよー?誕生日プレゼントなんて気にしなくてー!ケーキとか全然いいんだってー!」
「・・・」
「誕生日を一緒に祝ってくれる人なんてオレの周りにはたくさんいたんだけどさー!流石オレっ!だけどさー・・・オレの誕生日も知らなくて祝ってもくれない人と過ごしたいとか思っただけなんだよね。柚木先輩とか柚木先輩とか!」

柿内はため息を吐くと財布をポケットにねじ込んで栗山の腕を掴む

「何?!え?」
「ケーキ食いに行くぞ」
「え!マジで?!そこは柿内くんなら『ケーキ作ってやる』じゃないの?!ブッハー!柿内くんがショートケーキ作ってる図っ!!!ナイ!ナイなー!!!」

自分で言いながらケーキを焼く柿内を想像して笑い出した栗山の頭を叩く

「近くに球さんおすすめのケーキ屋があんだよ」
「えー?」
「特別に奢ってやるから」
「・・・うん!ケーキ3つね?」
「なんで3つも食うんだよ!」
「1個じゃ足りないじゃーんっ!いいじゃーんっ!柿内くんバイトしてるしー!」

文句を言いながら笑っている栗山の腕を引っ張りながら部屋の外に追い出すと柿内は少しだけ笑って「特別だからな」と呟いた







夕方、戻って来た栗山は帰り支度をする

「ありがとねー!なーんかすごい荷物増えたしー!しかもどこにでも買えるものだとかホントくだらないものばっかー!」
「・・・ホントにオレはなんでお前なんかに散財したのかと後悔してるよ」
「ケーチケーチ!」
「・・・嘘。お前も後輩に優しくしてやれ」

栗山は笑って「柚木先輩が愛した部活の後輩にだね」と柿内の胸を殴る
『部活の後輩』だから今日ケーキを食べてご飯を食べて『部活の後輩』だからゲームセンターでクレーンゲームをやってぬいぐるみを取ってくれて、『部活の後輩』だから雑貨屋で見つけた可愛いものを買ってもらって・・・特別じゃない。いや、ある意味特別。だから今日は気分がよかった
フラれたけれど部活の後輩には変わりなくて・・・柚木も柿内も今まで通りに接してくれて・・・

「楽しかったよ」
「あぁ・・・」
「来年・・・は・・・インカレで会えるかなぁ・・・いやー、柿内くんには無理だよねぇー」
「おい・・・」
「いやぁ、オレはきっとインカレ出るけど柿内くんはねぇ?」
「・・・出てやるよ・・・きっと」

栗山は頷くと手を伸ばす

「?」
「・・・最後っ・・・最後に握手っ」
「なん・・・」

「なんで」と言いかけて栗山の手が震えているのに気付いた柿内は「ほらよ」と手を伸ばして栗山の手を握る

「っ・・・ありがと・・・ありがとうっ・・・」
「栗山、お前が後輩なのはお前が卒業したって変わらねぇんだから・・・なんか相談でもあれば・・・まぁ、お前はオレなんかに連絡してこねぇだろうけど」
「するっ・・・わけないじゃんっ!・・・そんなのっ・・・柚木先輩にするもんっ」

卒業式のとき耐えた涙が零れそうなのを我慢する
決別の日・・・
柿内との関係への決別じゃない。今日別れてもきっと次会う時も関係は変わらないから・・・だから感情への決別・・・先輩以上に見ていた自分の感情への決別・・・

「電車乗れなくなんぞー」
「っ・・・う・・・」
「栗山ー・・・」
「うっさいっ!バカ!じゃあねっ!!!フラれちまえっバカ」
「おーおーおー相変わらず可愛げねぇなぁ。まぁ、ホントまた遊びに来いよ?」

柿内は笑う
栗山の涙の意味ももう判っていた。でも柿内にはどうすることもできない。栗山に告白されても別に嫌悪感もなかったけれど何も感じなかった・・・けれど、これからも変えたくない関係・・・

「元気でな」
「っ・・・バーカバーカバーカっ!」

部屋を出て行った栗山が「イー」と歯を見せながら悪態を吐くと柿内は手を振る
もう振り返ることがない後輩の背中をただ見送っていた

「ごめん」と心で呟きながら・・・




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バイバイ栗山!・・・いや、きっとまた出てくるよ。忘れた頃にw

柿内はなんだかんだで優しくてイイ奴だから意外とモテるのかもしれない
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