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青春はプールの中で8-2 - 03/28 Mon

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「友達?」

少しだけ安心した柿内に吹き出す

「警戒しすぎー!」
「いや、そりゃ・・・」
「まぁ、球ちゃん有名人だからそんぐらい警戒しといたほうがいいねー」

澤口は注文したドリンクが来たのを受け取るとそれに口をつけた

「私カッキーに会ったら聞きたいことがあったんだー」
「・・・何?」

柚木との関係を聞かれるのかと身構える

「関係を隠したいような関係ならやめてしまったほうがイイ。でも、それは私たち家族の間に隠し事をすべきじゃないってこと。でも、それが外で隠したほうが都合よければ隠すのもいいでしょう。柿内くんはもう家族同然だと思ってる。だからなんでも話して。ね?」

柚木の母に柿内も言われた言葉。柿内は大学で柚木のことは高校の先輩でルームメイトだと言ってはいるが恋人だと言っていない。隠している関係

「唐揚げの作り方」
「・・・え?」
「球ちゃんにさー、前、取材したんだけどー、好きな食べ物聞いたらさー、「最近1番好きなのはカッキーの作った唐揚げ」って言われたんだー。どんなすごい唐揚げなんだろーって」
「あぁ・・・唐揚げ・・・唐揚げな」
「で、カッキーって誰よ?!って思ったら目の前にいるし!私すごい運イイよね?」
「・・・柚木さん・・・あぁ、流の方な・・・知ってんの?」
「あー、流ちゃんは見たことないけど知ってる!大会で会ってたのは球ちゃんと秀ちゃんだし・・・流ちゃんは大会出てなかったから」

柿内は頷く。そこで柚木の悪いことを言わない澤口に少しだけ好感度を上げる

「あーあーもう向こうから隔離されてるねぇ・・・こっち。2次会の話してるけど完全蚊帳の外だわー・・・ごめんねー」
「いや、オレ別に出会い求めてねぇし」
「へぇー・・・そうなんだ」

澤口は頷くと「じゃあ2次会行かずにお茶しに行こう?」と柿内を見上げる

「・・・いや」
「それ、ウーロンハイじゃなくてウーロン茶でしょ?」
「あぁ」
「私もこれオレンジジュース。酔ってないのにあいつらのテンションついて行けないでしょ・・・それに、私あんまり食べれてないし甘いもの食べたい」
「・・・」
「私、球ちゃんの話が一緒にできる人貴重なんだよね・・・だからもっと話したいし」
「あー・・・」
「それに柿内と私、気が合う気がする」

澤口の目が見られなくて目を逸らす
狭い席でただでさえも肩が触れ合っているのに気付いてどうしたらいいのか判らない。ただ、この後の予定に頷くだけだった







「あー、やばい。ここのスイーツ最高にうまい」
「・・・ファミレスだけどな」
「ファミレスバカにすんな。っつか球ちゃんもこのパフェ好きなんだよー!知ってたー?」
「ん・・・知ってる」

柿内は口に苺を運ぶ澤口を見ながら球が笑顔で食べていたことを思い出す。その時はその隣に竹市がいて、自分の隣には・・・

「柿内ー、ひとくち食う?」
「っ・・・」

またいつもの幻覚。リアルな幻覚・・・あの時の記憶が柿内にリアルな柚木を作り上げる。誰かがいるときでも、いつでもどこでも・・・

「どしたー?」
「なんでもねぇよ・・・」
「ふーん・・・柿内はさー、どっかスイミングかジム行ってないの?」
「ん。部活だけ」
「もったいなくない?」
「・・・あんたはなんで水泳辞めたんだよ」

澤口は「それを聞くか?」とニヤリと笑った

「柿内にもさー、判らないだろうけど・・・私自分が泳ぐよりも球ちゃんが泳ぐのを支えたくなっちゃったわけー。あ、うん。付き合いたいとかじゃないから。それ以上ねー。そりゃあ付き合えたらすごい嬉しいけど球ちゃん無理だしね。あ!これ大丈夫?いや、流ちゃんとルームメイトなら知ってるよね?」
「あぁ。竹市さんとのこと?」
「あ、うん。まぁ、だから付き合えないもの判ってるし、付き合うよりもずっとずっと球ちゃんの役に立ちたいなーって・・・まぁ、私にできることなんてホント限られてるし、差し入れ持って行くとかそのくらいしかできてないんだけど・・・」

澤口の話に自分が重なる

柚木と付き合いたい。でもそれ以上に傍にいて役に立ちたい。今は付き合えていて幸せだけれどもし、関係が壊れたとしてもやっぱり傍にいたい

「・・・すげぇ判るし」
「え!マジ?わー私の直感やっぱりすごくない?柿内気が合いそうって思ったもん!」
「そ・・・か」
「なんかさー・・・あの時、あの瞬間に私の競泳人生始まって終わったなぁ・・・って」
「・・・」
「球ちゃんね、昔から速かったー。ホント速かったー・・・その頃から有名人でさ、人種が違うんだって思ってたんだけどね・・・ある大会で私が負けてコーチにボロクソ言われてトイレで泣いて泣いて泣いて真っ赤な顔でトイレから出たらさー、男子トイレから泣き声聞こえたんだー・・・」
「同じような人がいた?」

澤口が頷いて、そして静かに首を振る

「声が聞こえたの」
「・・・」
「大丈夫。大丈夫・・・って自分を自分で励ますような震える小さな声。で、私、なんか安心してその言葉に男子トイレの前で頷いてた。しばらくするとさ、トイレから出てきたのは体の大きい球ちゃん。で、目が真っ赤な私に笑って頭ポンポンってして「お疲れさまー」って・・・」
「うわー・・・球さんってホントそういうところあるからな・・・」

澤口は「惚れるよねー」と笑った

「んで、球さんそっから追っかけてんの?」
「そー・・・その後の球ちゃんはやっぱり速くて強くてカッコよくてさー・・・でも人間だった。レースの前に緊張して泣いちゃうし、ホント普通の人だったー・・・いっつも余裕だと思ってたけどそれは球ちゃんの優しさでプライド」
「オレの知ってる球さんはいっつも「流ちゃん、流ちゃん」言ってるイメージの方が強いけどな」
「あ!それも知ってるー!すごい男前でかっこよくて可愛い弟でしょー?秀ちゃんも妹の舞ちゃんもいるのに流ちゃんの話題が1番多いよね」
「あぁ・・・だなぁ・・・」

柿内はふわりと笑う。柚木の話題が嬉しくて。確かに柚木のことを話したくなれば竹市もいるし、新井もちょくちょく部屋へと訪れてくる。でも、いつだって柿内が素直に柚木の話をできないでいるのはからかわれたくないから。関係を知っているからこそ「ラブだな?ラブだー!のろけー!!!」と叫ぶ新井や「球さんに言っておく」などと言う竹市には素直に話せないことはたくさんあった

「柚木さんって人はすげぇかっこいいよ」
「お!柿内もその流ちゃん派なんだ?」
「いや、派とかそういうんじゃないけどな・・・オレにもう1度泳ぐ気力と夢を持たせてくれたし、人のためにいっつも動き回ってる人」
「へぇ・・・ねぇ、見た目はー?まぁ、親が親だからどっちに似てもイケメンだろうしー?球ちゃんも秀ちゃんもすごいイケメンだけど、秀ちゃんよりも流ちゃんの話ばっかりだからそっくりな感じじゃないんだよねぇ?」

柿内は球と秀、そして柚木を頭の中で並ばせると思わず笑ってしまう

「全然似てない」
「やっぱりそうなんだ?」
「1番男っぽくないのに多分3人の中で1番男らしい」
「うっわー!超気になるしっ!っていうかレシピ!レシピっ!」
「・・・あー、唐揚げか?」
「そー!」

柿内は携帯を取り出してメモしてある画面を見せる

「うっわー!それ送ってよ!っつかマメだね!」
「ん・・・食わせたい人がいるから・・・な」

誰かのために何かをしたい。それが大きな原動力
柿内を動かしているのは柚木・・・そう。柚木・・・ここにいなくても確実に柚木の存在が柿内を支配し続けている

 






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球は速く泳げるけれど心は結構普通の子だったんだと思うの。秀の方が案外落ち着いてて、静かに自信を持ってる感じ
まぁ、なんにしろ柚木兄弟みんなコミュ能力高そう
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