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赤い糸14 - 05/10 Tue

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勝手だ。誰かに見られるかもしれない教室でキスをして・・・慣れた手つきで触れてきて・・・嫌だった。新田が嫌というわけじゃないのに・・・知らない人みたいで嫌だった

「怜?」

教室から出て走っているとすぐに人にぶつかって一言謝って走り去ろうとするのを引き留められる

「っ!」

今1番会いたくない相手・・・

「な、どした?」
「うるさいっ!」
「なんかあったのか?泣いてる?なぁ、怜!」
「うるさいっ!ほっとけ!!!」

掴まれた腕が熱い。熱くて熱くて熱くて勘違いしそうになる

「俊輔ー!」

俊輔の彼女の声がしてビクりと体を震わせると思い切り腕を振り払ってその場を立ち去る

「あ、怜くん!」
「風花」
「何?あの人・・・」
「もうダメだ・・・ダメ・・・もう・・・ヤダ・・・」
「え!怜くん?!大丈夫?!怜くんっ?!」

その場に蹲った怜の背中を慌てて撫でる風花。トイレへ行った順平に早く戻ってきて欲しい。そう願った





「・・・落ち着いたか?」
「ん・・・」

露店の並ぶ場所から少し離れた静かな中庭で風花が買ってきた水を飲みながら怜は頷く
学校で、学校なのに新田に詰め寄られ、声を聞かされキスされた・・・パニックになったのにそこで俊輔の顔を見て腕を掴まれて思わず俊輔の胸に飛び込みたい衝動に駆られた。裏切られたわけじゃない。自分が裏切ろうとしていることに気付いてそんな自分に嫌気がさした

「あいつにフラれる・・・フラれてくる・・・」
「え?」
「赤い糸なんてクソくらえ・・・切りたい。あんなやつと切りたい」
「いや、でも怜、新田ってやつにキスされて逃げたって・・・」
「それは・・・学校でするのは困るっつーか・・・いつももっと慎重な奴なのに・・・」

あぁ、彼とはキスも普通にしているのだと思うと少し胸がもやもやとした

「・・・じゃあもし、フラれなかったら?」
「は?」
「運命の赤い糸だろ・・・もしかしたらそいつも全てを捨ててお前といたいって思ったら?」

順平の言うことは確かに一理あって・・・男だから・・・そんなことはもう関係ない。占い師も言った通り一度思いが通じてしまえば全てを捨てても求め合う呪いのような赤い糸・・・

「・・・」
「なぁ、そいつはどんなやつ?」
「あ?」
「お前の運命の赤い糸の相手」
「・・・今から演奏やるやつ・・・あー戻りたくない・・・って電話かかって来たし」
「戻って来いってー?まぁ、お前は忙しいのも慣れてるもんなぁ?頑張って来いよー!求められてるぞ?怜ちゃま」
「怜くん、私たち待ってるから・・・終わるの待ってるから。今日は一緒に帰ろう?」
「ん・・・」
「んでー、焼肉でも食って帰ろうぜー!」

順平に背中を叩かれて怜は頷いた





教室へ戻るとバタバタと忙しそうに走り回る姿を見て怜はエプロンの紐を締めなおす

「遅くなった。ごめん」
「怜くん来たー!!!」
「早速ごめん!もーわけわかんないー!」
「あー・・・どこまで出した?とりあえずバック下がって。オレが回る」

怜はバイト先で作っているような笑顔を作ってテーブルを回り、注文が満足行くものか何気なく話しかけながらチェックして回る。注文に抜けがあれば優先的にそれを出し、なんとかバタバタしていた教室を落ち着かせる

暫くするとアコースティックギターを抱えた俊輔が手を挙げながら教室へ入ってきて新田の時とは違って一斉に湧き上がる教室

「はいはーい!静かにねー!オレの美声聞きたいっしょー?」
「俊輔ー!」

黄色い声が響き渡る。彼女がいてもやっぱりチャラいから人気があるのかと怜は無視しながら教室を歩き回って騒がしく取り辛くなった注文を漏れなく聞き取っていく

暫くするとギターの音が教室に響く。甘いバラード調のメロディに乗せた俊輔の甘い声

「・・・」

さっき聞いた新田の甘い声とはまた違う。ビリビリと体が感じる俊輔の声・・・心臓が高鳴って苦しくなる

「さすが俊輔ー・・・相変わらずいい声だわー」
「でも私!実は新田の声の方がしびれた!」
「判るー!超良かった!意外性の勝利かも!」

パーティションの裏からそんな声が聞こえてくる。意外性・・・そう。みんなはあの甘い声でいつも囁くのを知らない。だからきっと今この胸が高鳴るのもその意外性・・・俊輔の知らない部分を知ったから

甘い声の甘いバラードは怜の胸へと流れ込んでいく






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色々とやることがあるのに背中がバッキバキで何もしたくなくなってる・・・でもやらなくちゃ・・・うう・・・
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