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赤い糸25 - 05/31 Tue

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冬休みが終わるとすぐにテストが始まって、それが終われば長い春休み・・・

「れーいちゃんっ!なぁなぁテストの調子どーう?春休み帰省すんのー?」
「聞いてない」
「もー!今年も冷たいなぁー・・・まぁ、そんな怜ちゃんも可愛くて好きだけどさ」
「ほっといてくれ」
「ねぇねぇー、怜ちゃんー」
「・・・本気で言ってる・・・お前が構ってくるとあいつがおかしくなんだよ・・・だから・・・」
「・・・なにそれ」
「だから」

一瞬で俊輔の顔が曇って怜の腕を掴む

「酷いことされる?」
「・・・そうじゃなくて・・・」
「うん・・・そっか・・・うん・・・そうだよね・・・怜ちゃんはあいつが好きなんだから・・・あー、すげぇ悔しい・・・でも、怜ちゃんが幸せなほうがいいや・・・じゃ・・・じゃあさ、もし、もし・・・そりゃもちろん怜が幸せなのが1番だけど、もし、新田と別れることがあったら・・・教えてくれる?」
「・・・」
「オレ、好きになったら結構しつこいよ?怜ちゃんのコトまだまだずっと好きだと思うよ。でも、怜ちゃんが困るからしばらく好きとか言ったりするのもやめるし、必要以上に怜ちゃんに近付くのもやめる。だけど、怜が辛いときとか、誰かに慰めてほしいとき、いつでも言ってきて・・・その時だけ利用するっていうのでもいい」

怜が顔を上げると優しい目の俊輔がいて目を逸らす
いつも新田が同じような目をして自分を見てくるのを知っている・・・愛されていると実感するあの目・・・新田だけだと思ったのに・・・俊輔も同じ目で自分を・・・

「じゃあ、行く・・・かなー」
「・・・」
「んじゃー、次は新学期かなー?またゼミでな?」

ポンポンと頭を叩かれて怜は唇を噛む
苦しかった。俊輔に悪態を吐くたびに、新田に優しく愛を囁かれるたびに、俊輔に話しかけられるたびに、新田にキスされるたびに・・・どんどんどんどん自分を嫌いになっていく
嫌いだと言い続けたかった。でも、その度に心が痛くて、それがまた嫌で嫌で仕方がない・・・
赤い糸は確実に俊輔と自分を結び付けていて、それは切れることもなく変わることはないのに新田とも別れられない・・・そんな自分が嫌い。嫌い嫌い大嫌い




バイトも休みのある日、順平と風花と共に歩いているとあの時の占い師を見つけて足を止める

「怜?」
「・・・」
「おや、あの時のぼうやじゃないか。なんだ。まだ告げてないのかー」

ニヤニヤと笑う占い師がおいでおいでとジェスチャーをして怜は占い師の元へと近付く

「さっさとしないと誰かに奪われてしまうよ?」
「・・・奪われる?あれは糸を切る方法だろ?!」

占い師は笑う。順平と風花は不安げな顔をしたまま怜に近付くと占い師は顔を上げてにっこりと笑った

「随分仲のいいお2人さんだ」
「・・・糸、見えるだろ!」
「あぁ、お友達も知ってるのか・・・じゃあ、問題。この糸、一体この正体はなんだと思う?」
「正体・・・いや!それよりもさっきのどういう意味だよ!」

怜は怒った表情で占い師に詰め寄っていて、それを順平が抑える

「話ってぇのは順序を追って・・・だよ?」
「・・・糸は糸!人はみんなこの糸で繋がってる人がいるんだよ!」
「ふふ。ホントに純粋で可愛い子だ・・・この糸の正体はね、オーラ。運命とかなんとかはロマンチスト達がつけたもんだ」
「・・・そのオーラだとして何が言いたい」

運命の糸だと信じていた怜はロマンチストと言われたようで恥ずかしくて少し悪態をつきながら口を開く

「このオーラはさ、波長が合うものが近くにいると引かれ合う性質があるんだ」
「・・・?」
「可愛いお2人さん、気が合うんだろう?一緒にいて楽しくて苦にならないだろう?」

突然話を振られて顔を見合わせた順平と風花はひとつ頷く

「ただそれだけ。例えば、他の波長が合う人間が近くにいたらそれはまた引かれ合うわけだ」
「・・・違うっ!!!だって!オレは順平と遭難しかけた時こいつから伸びる赤い糸のおかげで助かった!」
「・・・遭難・・・お嬢さん、その時、彼のことを真剣に祈ったかい?」

風花は首を縦に振る。順平にもからかわれていじめられていたけどホントはずっと好きだったから。はぐれたのが順平と怜だと知って真剣に祈った。無事に帰ってこられるようにと

「お兄さん、彼女に会いたい。そう祈ったかい?」
「・・・祈った・・・かもしれない」
「かもってなによ!」
「あん時は別にお前のことなんて」

本当は最後になるなら風花に想いを告げればよかったと後悔した。今までいじめてきたけれど風花の美味しそうに食べる姿だとか、話を聞いてくれることとか。アドバイスが欲しい時は的確なものをくれることだとか・・・だけど認めるのが恥ずかしくて怖くてからかったりいじめたり。それを後悔し、もう1度会って謝って好きだと言いたかった

「強く念じるとそのオーラは引き合う力を強くすることがあるんだ。命の危機に晒されているときとかにねぇ」
「・・・それで?」

いつの間にか話に聞き入っている怜が静かにそう言うと占い師は怜に向き合う

「でも、オーラは心と似てる。だからね、あんたみたいに目が良すぎちゃって見えちゃう子は結構心を閉ざすんだよ」
「・・・」
「どーせ運命じゃない。とかみんなに対して思ってるからオーラが異常に出ないわけ。そんなんじゃ引かれ合う相手も見つからないさ。あんたはせーっかく教えてあげたのにまーだ自分の殻に閉じこもったままだ」
「・・・でも、見えた」

心を閉ざしているというのならば、俊輔に見えた糸はなんなのか・・・
ずっと心をかき乱し続けるあの糸は・・・

「そう。あんたはオーラが一目惚れ起こしてる状態さ」
「一目惚れ?!ない!」
「あぁ。恋してるのはあんたじゃないから。恋愛は心でする?いや、実際は脳さ。けど、オーラ同士が一目惚れして恋したら・・・強いオーラで引かれ合う。まぁ、これは運命とか言っても許せるねぇ。お互いが一目惚れ起こすなんて到底ないことだもの」
「・・・何?」
「あんたが言う、運命の相手?その糸はキラキラ輝いてんじゃなかったかい?」
「・・・そう」

占い師は「ほらね」と笑って怜の鼻を突く

「それは他のオーラと違うもんなのさ」
「・・・でも、だからそれを切りたいって!求めだしたら暴走してなりふり構わずになるっていうから切るように・・・」

そう。それが怖かったから・・・だからこそ切りたかったのに・・・

「あぁ、あんたにいっくら心に正直になりなって言っても無駄っぽかったからねぇ・・・相手を振り向かせる魔法を教えてやっただけさ」

怜は息を飲む。振り向かせる・・・だからあの時俊輔は・・・あの時言わなかったら俊輔は・・・

「言っておくけれど、オーラは勝手に一目惚れ起こしてるわけじゃないよ?あんたと繋がって見えたんならそれはお互いが一目惚れを起こしてる証拠さ。心が好きで好きでたまらない。そんな相手に涙ナシでフラれるなんてことはできないもんなのさ。いっくら涙なんて流さなくたって心のどこかは大洪水。おや・・・あんた、相手に伝えたのかい?なら今幸せになってるんじゃ」
「余計なことしやがって・・・クソ・・・クソばばぁ」
「おやおや・・・」

怜は頭を抱えて順平に抱きかかえられるようにして立ち上がる
好き・・・その感情が怜の頭を支配する。それは全部自分のせい・・・俊輔が突然告白なんてしてきたせいじゃなくて、それを仕掛けるようにした自分のせい・・・新田のことが好きなのに・・・好きなのに・・・

「おばさん・・・怜はすげぇ悩んでんだよ・・・あんたの余計な言葉のせいで・・・」
「・・・へぇ?」

順平は占い師を少し睨んで怜の肩を支えたまま風花と共にその占い師を後にした




「あぁ、心が一目惚れ起こしてるときは心を開いてもたとえ引かれ合っていても自分から出る他のオーラには気付けない・・・言い忘れてたわねぇ・・・」

その占い師の言葉は誰も聞いてはいなかった








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なんだかスピリッチュアルなこと書いてたりするけどこれ、水尾が勝手に書いてることですよー?ええ。全てフィクションでファンタジーなのですー
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