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つれないキミと売れてる僕3 - 03/09 Mon

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その日、須野が部屋に入ると既に部屋から声が聞こえてきた・・・


「光、なんでひきこもってるくせにそんなキラキラ保ってんだよ・・・ずりぃー」
「お前が突然老けたんだ」

この声は誰か確認しなくてもすぐに判る・・・

「ただいま」
「須野ちゃーん!おじゃましてるよーーーん」

ほら。葛西・・・そう須野が懐かしい親友に手を挙げてジャケットを脱いで寝室へ向かう
親友・・・でも本当は少しだけ苦手。
確かに親友だし、好きなのだ。しかし、里見と異様にくっつくのを見て嫉妬に狂いそうになるのが苦手・・・
自分にはあの距離にいけない・・・だから嫉妬する

「須野ー!早く出てこいー」
「あぁ、待って」

ハンガーにジャケットを掛けるとすぐに須野は寝室を後にする

「須野ー、お前もキラキラしやがってー・・・あ、何?この家にオレも住んだらキラキラしちゃう?そーいうこと?」
「・・・元が違ぇよ」
「ひっでー!それ言っちゃう?それ言っちゃうのー?そりゃー昔っからお前ら二人といるとなんで葛西だけイケメンじゃないのに・・・みたいな目で見られてたけどさぁぁぁぁ!!!」
「里見はずっときれいだから・・・」
「・・・須野、相変わらず光に好き好きアピール頑張ってるのなー」
「それはもちろん・・・」
「お前が上も下も工事してきたら考えてやる」
「・・・で、相変わらず光も光なのかー」

葛西は両手をあげてわかりやすい「やれやれ」を表現する
昔からこの関係。須野が里見を好きでも葛西は変わらない関係を保つし、差別もしない。それは須野にとってとてもありがたいこと

・・・しかし、自分の気持ちを判ってくれているのなら里見に近づきすぎるのをやめてほしかった

「つきあっちゃえばいいじゃんかー」
「はぁ?」
「だってさー、ここまで光のお世話してくれるヤツいねぇよー?」
「それは僕が好きでやってたことだから・・・」
「ほらー!光ー・・・もうイイ大人になったんだし、いいじゃん?」
「何がいいんだ」

里見は葛西が持ってきたビールを葛西に投げるとそう怒る。
そのビールを開けると葛西は「理想のカップルなんだけどな」と呟き、須野は独り首を振った

「僕の一方的な想いだよ。それは今までもこれからも・・・」
「・・・須野ちゃん、お前ももーちょっと欲出せよー・・・この数カ月お世話してきたんだからーとかいって迫っちゃえば・・・」
「あー、だからお前はモテねぇんだよ」
「僕が好きでやったことだから僕はなにも要らないから・・・」

そう寂しげに微笑む須野の顔が葛西には切なく感じる・・・
葛西は一番近くでこの二人の関係を見てきた。いままでずっと・・・もちろん、俳優として忙しい須野と一緒にいられないときもあったが、それでも誰よりもこの二人を近くで見ていた。

「んじゃー、オレはかえりまーす!」
「おう。早く帰れ帰れ」
「嫁ちゃん待ってるしー」

その言葉で須野と里見は固まる・・・
嫁・・・

結婚したなんて聞いていない・・・


「よ・・・嫁?あの・・・噂の二次元嫁とかそういう・・・?」
「妄想だろ?」
「えぇぇぇぇ!ひっでぇー!オレ、結婚したの送らなかったっけ?」
「・・・いつ・・・」
「んー、2年前?」

里見は自然に葛西の頭を叩くと須野も驚いて口をパクパクさせる・・・
確かにここのところ全員が忙しくしていてなかなか会う機会もなかったが、結婚の連絡も来てなかったし、噂さえも聞かなかった

「あっれー?送ったと思ったけどなぁ・・・」
「・・・しかも帰りにそれ言うとかお前なんなんだよ」
「だってぇー聞かれなかったし?」
「「当たり前だろ!!!!!」」

思わず同時にそう叫ばれると葛西は「なっかよしー♪」とまた茶化してから玄関を出ていく

「・・・まさか・・・葛西が結婚・・・」
「だね・・・」
「・・・でもまぁ、なんつーかオレらの中で唯一ちゃんと結婚しそうなやつだったか・・・」
「里見も結婚してそうだよ?」
「・・・」

結婚と聞いて須野をチラリと見る。
その視線の意味が判らず須野はただ微笑んだ

「僕は里見だけだから結婚はしないだろうってあの頃からずっと判ってたけれどね」
「・・・そうか」

須野は自分が結婚しても構わないと思っているのか・・・
確かに、里見には今までも彼女がいたし、その時も須野は笑顔で祝ってくれた・・・その時に感じた感情と同じ感情が里見を襲う・・・

「ねぇ、里見、ドラマさー!」
「・・・テレビで見た。いつからやるか・・・」
「あ、そうか・・・発表先にされちゃったか・・・」

紹介予告で見た須野の「秋」はそれはそれはカッコよく見えた
濃色の細身スーツをスラッとした長身で着こなして、立ち方も真っ直ぐ・・・美しく・・・

まさに秋

太陽の沈む影は里見にとって特別想い入れのある作品・・・主人公は特別

「あの小説が葛西の手で映像化される・・・ことになった・・・」
「え?どれ?」

須野は空き缶を片付ける手をとめてそう尋ねる。《獣》と一言答えた里見に何度も頷く

「・・・いいなぁ・・・僕、出られないかなぁ・・・」
「嫌だ」
「なんで!!!!」
「色気が足りない」
「・・・そうか・・・色気・・・」

里見のような色気は普通にしていて出るものではない・・・
それを求められても須野は悩む・・・彼は今まで経験がない。色気がどんなものなのかも目の前から立ち上るものを見る以外のものは知らない・・・

「お前の「秋」にももう少し色気ほしいけどな・・・そしたら完璧なのに・・・」
「・・・でも色気ってどうしたら出るのか・・・」
「童貞だからなぁ・・・」

そう言いながらタバコを吸ってる手を止めて立ち上がる・・・
須野の目の前に立つと同じ目線で見つめられて感情が揺さぶられる

高鳴る心臓のせいで正常な考えも呼吸もできなくなるような気がした

「・・・さ・・・里見?」

近付く影に須野は一歩下がる・・・何をしようとしているのか・・・里見は何を・・・

唇が限界まで近付いて・・・止まる

期待・・・した

一歩前に出たらその唇を手に入れられる・・・けれどその一歩を須野は踏み出すことができない

「・・・このギリギリ・・・ドキドキしただろ?」
「・・・え・・・演技指導?」
「いいや?色気がわからねぇとか言うから教えてやっただけ」
「言っとくが、オレは座ってても一歩も触れなくてもその気にさせられるぞ?」

里見はニヤリと意地の悪い笑顔を浮かべるが、そんなこと自分が一番感じていることだと須野はまだドキドキしている心臓を胸の上から触った・・・




太陽の沈む影の放映が近くなると嫌というほどテレビのCMで須野の顔が流れ、番宣のために忙しくしている須野・・・
一方、里見も小説の依頼がやたらと来るため、おかしいと思い、葛西のショートムービーを検索してみる

そこで葛西がショートムービーでデビューした後、先日賞を獲った映画の監督、ShinGoだということを初めて知った
まさかインターネットで親友の受賞を知るとは思ってもみないこと

映画《刻の罪》・・・それが注目されると、デビュー作までもが注目され、そこに原作者として名前が載せられているのに気付く・・・
その名前は小説家として活動している 皐月 光 としての名前・・・里見は大きくため息をつくと「ホント肝心なこと言わねぇやつだ」と呟いた



「ただいま」
「・・・おう」
「ねぇ、里見ー僕、また出るんだけど、夕飯・・・」
「んー・・・要らねぇー」
「え・・・でも・・・」
「ネットで頼んだの来た」

そう聞いて須野は冷蔵庫を開けるが何が入っているでもない

「野菜室、トマトめっちゃ届いた」
「・・・里見・・・トマトは夕飯になりません」
「ビールのつまみに丁度いい」
「ダメ!今から買ってくるから!!!!」
「うるせーお前はおかんか嫁か!」

須野は「嫁にしてくれるの?」と笑う

「・・・バーカ」

そう言って里見が笑ったことにホッとして須野は冷蔵庫から卵と冷凍にしてあるご飯を解凍する

「チャーハン作っておくから・・・」
「・・・須野、そんなに心配しないでも別にオレ・・・」
「いや、僕がやりたいだけだから・・・」

きっと忙しい。
少し時間が空いたからと帰ってきてわざわざ夕飯の用意をしていたら彼の身がもたないのではないかと里見は少し心配になる
自分がもっとちゃんとすれば・・・しかし、今までも似たような生活をしてきた彼にとってなにがちゃんとした生活なのか判らない

ずっと支えられてきた気がした
それは前から判っていたこと
でも彼に何が返せるのか・・・
須野は「里見と少しでも過ごせたらそれで幸せ」そう言うが、果たして本当に彼の幸せはそれだけなのか・・・

「・・・須野・・・お前さー・・・キスしてほしいんだっけ?」
「は?」
「キス・・・」
「な・・・に?」
「だからキス・・・セックスはさすがに簡単にしてやれるもんじゃねぇけど、キスならしてやる」
「ちょ・・・え?何?なんで?」
「メシのお礼」
「いや、いやいやいや、要らないって」

耳まで真っ赤にして言う彼。
本当に純粋。キスくらいで顔を赤くして断っておきながらも少し期待しているのだろう・・・

「須野」
「・・・待って・・・くれ・・・」
「ん?」
「この後仕事にならない・・・」
「じゃあ帰ってからしてやろうか?」
「・・・仕事手に付かない・・・かも」
「どっちだよ」

どっちも嫌だという須野に里見は吹き出した。
好きすぎて
好きという感情が大きすぎて長すぎて
もう何がしたいのかも判らない

想像の中では彼のことを何度も穢した
でもそれは想像
当然だが、実際の彼は相変わらずキレイでキレイなままで須野はその度に自己嫌悪に陥る・・・

「期待したくないから・・・嫌・・・です」
「何それ・・・」
「だって、キスしたら、きっと僕は次があるかも・・・って期待して里見を見ると思う・・・だからっ!」
「じゃあ期待もしたらいい」
「・・・付き合ってくれるの?」
「うーん・・・」

その歯切れの悪い答えは想像通り

「セックスは無理。それ以外ならいけそう・・・だなぁ・・・」
「・・・」
「セックスは必須だよなぁ」
「必須じゃないけど・・・」
「じゃあいいかー・・・」
「里見、ホント・・・やめ・・・」





「付き合うか」



さらりとその言葉が聞こえて須野の心臓が締め付けられる

望んでない
望んでない


望んでいた

その答え・・・

「・・・いい・・・の?」
「今のこの状況、何が変わるかわかんねぇけど・・・今、全部なくなった今なら・・・お前にそんぐらいやってもイイ」
「・・・気持ち悪いかもしれない」
「それはやってみなきゃわかんねぇだろ?」
「・・・でも・・・」
「あー、うるせぇ!口閉じろ!」

須野は口を閉じると近付く里見の影にきつく目を閉じる

チュ・・・

唇に軽く・・・一瞬だったが確実に・・・触れた唇。重なった唇・・・
指だ・・・これはきっと冗談だ・・・頭の中で事実を否定する須野
けれど、信じたくて指でそっと唇に触れるとその感触の違いに身震いした

「・・・マジもんのファーストキス?」
「・・・」
「須野?」
「・・・ごめ・・・ご飯作ってないけど仕事行ってくる・・・」
「おい、須野?」
「・・・ごめ・・・ちょっと顔見れないから頭冷やしてまた帰ってくるから」

須野はそう言って部屋を出ていく・・・
里見は頭を掻くと「キスくらいでそんな動揺するなよ・・・」とまた誰もいない部屋にぼやいた




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改行しすぎなのか・・・長い・・・ごめんなさいーーーー
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