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つれないキミと売れてる僕9-15 - 06/26 Sun

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「・・・寛人、いい加減変態くさいからな?」

仕事が終わってからそう山口に言われて無意識に袖口を鼻へあてていたことに気付いて須野はふへへ。と少し気味の悪い笑いを浮かべる

「お前、付き合ってんだろ?なのにそれってどーなんだよ」
「えー?山口さん恋人のシャツとか匂い嗅がない?そばにあったら常に匂い嗅がない?」
「ない」
「ええ?!僕だけ?・・・まぁ、里見と今みたいになれるまですごい時間かかったから・・・僕ねー、里見の忘れてった制服こっそりぎゅってしたこともあるー」

衣替えの前の暑い日、移動教室で忘れ物を取りに戻った須野は誰もいない教室の里見の席に学ランを目にして衝動的に起こした行動

「お前・・・誰にもばれなくてよかったな?」
「あ、バレたよ?」
「は?!」

山口は過去の出来事でもスキャンダルになりかねないと顔色を変える

「里見に」
「あぁ・・・なんだ」
「でも1番バレちゃダメだよね・・・まぁ、僕が里見のこと好きなのはもう里見も知ってたけど『何やってんだよバーカ』って笑ってくれたんだぁ・・・」
「・・・普通は気持ち悪いっつって避けられそうだけど」

須野は小さく頷きながら笑う

「里見は優しいんだ・・・その頃からずっと優しい・・・」

そう嬉しそうに微笑む須野を横目に「それは優しいじゃなくて残酷なんだろ」と心の中で呟いた
須野の想いを知っていて、まだ答えの出ていない感情を見て見ぬ振りをしながらここまで来たのだ。自分しか見ていない、見るわけがない。そんな自信で武器である魅力を最大限に活かしながら・・・里見の思惑通り、須野は脇目も振らず里見の姿を追い、求め続けた・・・誘惑の多いこの世界に身を置きながら・・・

「里見は完璧で優しくてホントに・・・あー、里見に会いたい」
「お前、数時間前まで一緒にいたんだろ。うざい」
「でも最近ずっと会えてなかったもん!山口さんが仕事詰め込むからー!!!」
「はいはい。帰ったら充電しっかりしてくだせぇ」

「もちろん」とすぐに答えた須野は窓の外を見つめる
仕事が早く終わった。だから今すぐ今すぐ会いたい。愛してると抱きしめたい







「んでさぁー、その合コンの美女といい感じになったわけだよ!オレは!」

突然「有給取ったから」とやって来た吉田の愚痴にうんざりしながらも吉田が箱で持ってきた高級なビールを開ける

「しばらく話してたらその子のカバンから読みかけの本が少し出てるのに気付いてさー、何読んでんの?って聞いてからが地獄だったんだよ!」

酒なんてなんでもいい里見ではあるが、このどこのものかわからないビールは美味しかった

「お前の本だったんだけどさぁー!」
「何が悪いんだ」
「お前の話延々とされて萎えた!あー!イイオンナだったんだけどなぁー!」

吉田がそう言いながらタバコに火をつけながらため息を吐く

「お前のイイオンナはあんまり信用できないけどな」
「あの女優に似てる!ほら!あれ!須野とこないだ共演してたやつ!」
「誰だよ」
「あー・・・さやか!春乃さやか!」

里見は少し考えて「あー」と言いながらつまみを口に運ぶ

「イイよなー!須野は春乃さやかと共演とかぁー!」
「あいつにとっちゃ共演者は共演者だろ・・・」
「うっわー!それ自信満々ー!やっだー!やらしーんだぁ!里見くんたらイケメン俳優もメロメロにしちゃうテク持ってますからねぇ?」

そうニヤニヤ笑った吉田を見て里見は不機嫌そうに口に運んだ箸を置く

「お前らさー・・・なんでそう思うんだ?」
「うんー?」

吉田が何のことかと首を傾げる

「お前も葛西もオレがあいつと付き合ってあいつに快楽与えるから上手くいってるとか?あいつはオレが何もしてやらなくたってそれこそゼックスだってしなくてもオレのこと好きだけど?」

吉田は目を丸くした後吹き出した

「や、えー?そう聞こえたー?」
「聞こえる」
「まぁ、うーん・・・だってまぁ、正直、里見だろー?みたいな。顔はいいけどさぁー」
「性格に難があるのは自分でも判ってんよ」
「だろー?顔っつーなら須野だって鏡見りゃイケメン映るわけじゃんー?んじゃあとはー・・・みたいな?」

タバコを咥えて火を点け、ため息と共に紫煙を吐き出す

「あいつのでかすぎる愛は昔から変わらずオレにだけ注がれてんだよ・・・それを判ってやったっつーのがあいつは嬉しくて満たされることでオレがセックスしてやらなくたってそれは何も変わらない」





須野は帰宅し、里見の部屋をノックしようとした所で部屋から声が聞こえてノックを躊躇った。すぐに吉田が来ていることは判ったが、内容が自分の話でノックをし辛い状況になる
早く里見の顔を見たいのに自分の話をされていて・・・

「・・・ぅ・・・わぁ・・・」

そして里見の言葉

「あいつのでかすぎる愛は昔から変わらずオレにだけ注がれてんだよ・・・それを判ってやったっつーのがあいつは嬉しくて満たされることだ」

判ってくれている・・・判ってもらえている・・・それが嬉しくて須野はその場に膝をつくとドアを抱きしめる
どうすれば自分の気持ちが里見に伝わるか・・・どれだけ大好きか伝えるにはどうしたらいいか・・・そればかりの毎日。伝わらなくてもいい。伝えるだけでもいい・・・そう思ってきたけれど、実際どれだけ伝わっているのかなんて判らなくてもどかしかったのにちゃんと1番知って欲しい人に気持ちが伝わっていたことが嬉しくてたまらない
今までで1番報われた気分になりながら冷たいドアをただ抱きしめた





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安定の須野現象

最近超暑かったりそうでもなかったりで身体壊しそうな感じですよねー・・・皆さまお気をつけ下さいませー
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