つれないキミと売れてる僕9-22《最終話》 - 07/03 Sun
「須野・・・須野ちゃん」
須野が名前を呼ばれて振り返るとそこには見慣れた親友の姿
「どうしたの?やっぱり来たの?」
須野が笑って葛西に手を挙げると葛西はにっこりと笑っておいでおいでとする
「?」
「須野・・・お前の人生は今日でおしまいなの」
「え?」
「今日でお前終わっちゃうの」
「え・・・死ぬの?え?」
葛西は少しだけ曇った表情をしてすぐにいつもの笑顔を須野に見せる
「でも、良かっただろ?最後」
「あ・・・そ・・・っか・・・うん。確かに最後って感じの幸せを感じられた・・・」
「もう、目が覚めないけどイイ?」
「・・・最後に里見の顔見たかったけれど・・・でも、ホント・・・そっか・・・幸せすぎたよね・・・」
少しだけ戸惑ったけれど確かにイイことが起こりすぎていた・・・と須野はすぐに諦めて葛西の後ろを歩く
これからどこへ行くんだろう・・・里見は自分が隣で死んでいたらどうするんだろう・・・悲しんでくれるのか・・・そう思うと後ろ髪は引かれたけれど暗い暗い闇の中を葛西を見失わないように必死についていく
「ありがとう。ホントに最後いい想いした」
「須野・・・おい、須野っ!」
「・・・?」
揺り動かされて目を開けた須野は目の前にあった顔に驚きの表情を浮かべて「え?」と呟いた
「いい加減起きろよ。さっきからずっと起こしてんのにっ!メシの用意もうできてんだっつーの。先食うからな?」
「あ・・・うん・・・」
須野は体を起こしながら「夢・・・?」と呟くと里見を見つめる
里見が不機嫌そうにグラスにビールを注いでるのを見て慌ててその瓶を手に取って酌をする
「ごめ・・・僕、結構寝てた?」
「ふざけんなよ・・・マジで。散々好き勝手やってオレの上で寝るとはどーいうことだバカ!クソ重かったしメシの準備するっつーから起きねぇお前に浴衣着せたりとかマジ大変だったっつーの!」
「え・・・あ・・・そっか・・・ごめん。ごめん」
須野は頭を下げて里見の顔を見る
さっきはもう見られないと思って、仕方ない・・・そう思えたのに、やっぱり夢でよかったと心底感じながら里見の頬に触れる
「なんだよ」
「・・・夢にね・・・葛西が出てきたの」
「どんだけ葛西のこと好きだよお前」
少し吹き出した里見に須野も微笑む
「葛西がね、僕はもうこのまま目が覚めないから着いてくるようにって暗闇の中で言ったんだ」
「・・・はぁ?」
「でね、僕、確かに最後幸せすぎたからそっか・・・って妙に納得しちゃったんだけど、夢でよかった・・・って今すごい思ってるんだ」
里見がため息を吐くと箸を置いて須野の頭を叩く
「痛い」
「小せぇよっ」
「うん?」
「てめぇの幸せこんだけで充分なのか?あ?オレ、言っておくけど結婚してっつーの了承もしてねぇし、了承する気も全然ねぇからな?」
「あ、うん。結婚して?」
「ふざけんな」
里見がビール瓶を持ち上げて須野のグラスに注ぐ
「あと、お前、オレを幸せにすんじゃねぇの?」
「え・・・?」
「んで、なんでもオレに寄越すんだろ?金も何もかも全部」
須野はすぐに「うん」と頷くと里見に額を指ではじかれる
「んじゃてめぇの命もオレのだから」
「・・・?」
「勝手に死ぬの納得してんじゃねぇよ。オレが死んでイイっつってから死ね」
「・・・うん・・・それってなかなか難しいね」
「おう。でも守れなかったらオレはお前のコト大嫌いっつってお前の遺灰も捨てるしお前が遺したもん全部捨てるしお前の痕跡すらどこにもなかったことにすっからな」
「・・・僕のコト忘れる?」
「おう。速攻忘れてやる」
須野は唇を噛んで涙を浮かべる。自分が里見の記憶からいなくなるなんて耐えられなくて。死んだら傍には当然いられなくなるのに記憶からも抹消されて、思い出してもらうこともなくなってしまうだなんて・・・
「泣くな。嫌なら守れ」
「うん」
「っつかオレ怒ってんだった・・・」
「え?なんで?」
「なんでじゃねぇだろーがっ!ケツも腰も崩壊しそうなくらい痛ぇよっ!バカ!!!」
里見に背中を蹴飛ばされて「痛いー」と声を上げた須野だが、それはまた幸せそうなデレデレとした顔でファンには決して見せられないような表情だった
つれないキミと売れてる僕 9幕 おしまいおしまい

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須野が名前を呼ばれて振り返るとそこには見慣れた親友の姿
「どうしたの?やっぱり来たの?」
須野が笑って葛西に手を挙げると葛西はにっこりと笑っておいでおいでとする
「?」
「須野・・・お前の人生は今日でおしまいなの」
「え?」
「今日でお前終わっちゃうの」
「え・・・死ぬの?え?」
葛西は少しだけ曇った表情をしてすぐにいつもの笑顔を須野に見せる
「でも、良かっただろ?最後」
「あ・・・そ・・・っか・・・うん。確かに最後って感じの幸せを感じられた・・・」
「もう、目が覚めないけどイイ?」
「・・・最後に里見の顔見たかったけれど・・・でも、ホント・・・そっか・・・幸せすぎたよね・・・」
少しだけ戸惑ったけれど確かにイイことが起こりすぎていた・・・と須野はすぐに諦めて葛西の後ろを歩く
これからどこへ行くんだろう・・・里見は自分が隣で死んでいたらどうするんだろう・・・悲しんでくれるのか・・・そう思うと後ろ髪は引かれたけれど暗い暗い闇の中を葛西を見失わないように必死についていく
「ありがとう。ホントに最後いい想いした」
「須野・・・おい、須野っ!」
「・・・?」
揺り動かされて目を開けた須野は目の前にあった顔に驚きの表情を浮かべて「え?」と呟いた
「いい加減起きろよ。さっきからずっと起こしてんのにっ!メシの用意もうできてんだっつーの。先食うからな?」
「あ・・・うん・・・」
須野は体を起こしながら「夢・・・?」と呟くと里見を見つめる
里見が不機嫌そうにグラスにビールを注いでるのを見て慌ててその瓶を手に取って酌をする
「ごめ・・・僕、結構寝てた?」
「ふざけんなよ・・・マジで。散々好き勝手やってオレの上で寝るとはどーいうことだバカ!クソ重かったしメシの準備するっつーから起きねぇお前に浴衣着せたりとかマジ大変だったっつーの!」
「え・・・あ・・・そっか・・・ごめん。ごめん」
須野は頭を下げて里見の顔を見る
さっきはもう見られないと思って、仕方ない・・・そう思えたのに、やっぱり夢でよかったと心底感じながら里見の頬に触れる
「なんだよ」
「・・・夢にね・・・葛西が出てきたの」
「どんだけ葛西のこと好きだよお前」
少し吹き出した里見に須野も微笑む
「葛西がね、僕はもうこのまま目が覚めないから着いてくるようにって暗闇の中で言ったんだ」
「・・・はぁ?」
「でね、僕、確かに最後幸せすぎたからそっか・・・って妙に納得しちゃったんだけど、夢でよかった・・・って今すごい思ってるんだ」
里見がため息を吐くと箸を置いて須野の頭を叩く
「痛い」
「小せぇよっ」
「うん?」
「てめぇの幸せこんだけで充分なのか?あ?オレ、言っておくけど結婚してっつーの了承もしてねぇし、了承する気も全然ねぇからな?」
「あ、うん。結婚して?」
「ふざけんな」
里見がビール瓶を持ち上げて須野のグラスに注ぐ
「あと、お前、オレを幸せにすんじゃねぇの?」
「え・・・?」
「んで、なんでもオレに寄越すんだろ?金も何もかも全部」
須野はすぐに「うん」と頷くと里見に額を指ではじかれる
「んじゃてめぇの命もオレのだから」
「・・・?」
「勝手に死ぬの納得してんじゃねぇよ。オレが死んでイイっつってから死ね」
「・・・うん・・・それってなかなか難しいね」
「おう。でも守れなかったらオレはお前のコト大嫌いっつってお前の遺灰も捨てるしお前が遺したもん全部捨てるしお前の痕跡すらどこにもなかったことにすっからな」
「・・・僕のコト忘れる?」
「おう。速攻忘れてやる」
須野は唇を噛んで涙を浮かべる。自分が里見の記憶からいなくなるなんて耐えられなくて。死んだら傍には当然いられなくなるのに記憶からも抹消されて、思い出してもらうこともなくなってしまうだなんて・・・
「泣くな。嫌なら守れ」
「うん」
「っつかオレ怒ってんだった・・・」
「え?なんで?」
「なんでじゃねぇだろーがっ!ケツも腰も崩壊しそうなくらい痛ぇよっ!バカ!!!」
里見に背中を蹴飛ばされて「痛いー」と声を上げた須野だが、それはまた幸せそうなデレデレとした顔でファンには決して見せられないような表情だった
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お疲れ様でしたーーー!
つれキミ売れ僕もとうとう9幕。えぇ。ええ・・・まだ2人をかきまわすネタはありますとも。
そして今回やたらと糖度高かった気がして甘っ!甘すぎるーーーーっ!って水尾はなったから辛いものも書きたいなぁ・・・と思いつつそれはそれで難しいなぁ・・・というところであります
明日からはなんていうか遠目で見たらシリーズもの(しかも新シリーズ)でも一応単発SSです。とりあえず、長すぎてスケールでかすぎてUPがなかなかできないシリーズものなので、青プとかコイミズを完結させたら始めたいなぁ・・・とかゆるーく考え続けているものです。すごくBLっぽい舞台設定wwwでも、またお付き合いいただけたら幸いです^^
今回もありがとうございましたー
つれキミ売れ僕もとうとう9幕。えぇ。ええ・・・まだ2人をかきまわすネタはありますとも。
そして今回やたらと糖度高かった気がして甘っ!甘すぎるーーーーっ!って水尾はなったから辛いものも書きたいなぁ・・・と思いつつそれはそれで難しいなぁ・・・というところであります
明日からはなんていうか遠目で見たらシリーズもの(しかも新シリーズ)でも一応単発SSです。とりあえず、長すぎてスケールでかすぎてUPがなかなかできないシリーズものなので、青プとかコイミズを完結させたら始めたいなぁ・・・とかゆるーく考え続けているものです。すごくBLっぽい舞台設定wwwでも、またお付き合いいただけたら幸いです^^
今回もありがとうございましたー
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comment
まさか・・・(泣)
やっぱ夢か・・とほっとするっていう(笑)
でも須野は里見以外には執着がない、生にも・・
だから意外にあっさり受け入れそうな気がする。
始まった頃の里見を思い出せばつれない君じゃなくなったけど、無償の愛は人を変える(^^)
そして全くぶれない須野‼️
だから何があっても大丈夫って思えてほっとするんですよね(≧∇≦)
なんだかんだ言いながら開発されていく里見の身体にも期待してます💗
コメントありがとうございます♪
うちの須野はホント里見以外に何も要らないみたいです。今回は夢オチだったけれど多分実際に最期になる時も里見以外のコトは何も考えてないんだろうなぁ・・・と思いながら書いてました^^
一途な愛を受けてどうしようもない人間が変わることができるのか・・・ってのがつれキミ売れ僕のテーマでもあるので少しずついろんな意味で変わっていく里見をお楽しみいただけたら・・・と思います♪
いつもありがとうございますー
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