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竹市くんと柚木くん9-2 - 08/15 Mon

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で 番外編
「あれ?誰か来てる?」

球の実家へ到着して中へ入ると玄関に見慣れない靴があって2人は首を傾げた
自分たちを呼んだのに来客とは・・・?という疑問

「・・・あれ?・・・この声・・・」
「だからー、祥子があの時さぁー」

リビングから聞こえてくる声に竹市はギクリと足を止めた

「たけちゃん?」
「ちょ・・・え?」

明らかにそれは動揺していて球が心配そうに竹市の顔を覗きこんだところでリビングのドアが開いて「おかえり」と祥子が出迎えてくれた

「ただいま・・・お客さん?」
「うん・・・あー、でもお客さんかなぁ・・・」
「よ!」

リビングから祥子の陰から顔を覗かせた顔を見て竹市が「やっぱり・・・」と呟くと大きな判りやすいため息を吐いた






リビングには両家の両親がいて、これではまるで結婚前の顔合わせのようだと思いながらも自分たちにはそれはない・・・そう思いながら球は席に着く

「えっと・・・」
「うっわー、柚木くんに超そっくりじゃんっ!」
「うん?球?うち、次男坊しか私に似なかったんだよね・・・」
「まぁ、イイんじゃない?柚木くんってイケメンだしー」

どうにもこの状況が飲み込めなくて竹市は「なんでいんの?」と声を絞り出す

「あー、たけちゃん、私が呼んだ」
「え!」
「っていうか洋司、こっちにはしょっちゅう帰って来て家に帰ってこないってお前どういうことだよ」
「いや、そりゃ・・・」
「あー、大丈夫大丈夫。もー諦めてっから」
「は?」

手を横に振った母の反対の缶ビールを取り上げた父が竹市の顔を見て優しく笑う

「柚木んとこの子だったらしゃーないな。って母さんと納得してるから」
「・・・や、っていうか・・・は?」
「あれ・・・?なんでお前知らないの?私と祥子っつったらあの時代を賑わした美しの人魚姫じゃん」
「・・・は?!」

祥子が苦笑しながら「産まれる前のコト言っても」と竹市の母、清奈の前にお茶を出し、球と竹市の前にも同じようにお茶を出した

「え・・・知り合い・・・?」
「永遠のライバル・・・ってところかなぁ」
「祥子ちゃん、謙遜しなくてイイから・・・こいつが祥子ちゃんに勝てたことなんてなかったじゃんか」
「うっさい」
「オレはたけちゃんが竹市の息子だって知らなかったなぁ・・・」
「あら?私言ったけど?」
「え!!!!」

どうやら球と竹市の母同士が知り合い・・・というよりも両親どちらも顔見知りだと察した2人はなぜ今までその話題が出なかったのだと疑問になった

「でねー、今日2人に来てもらったのはー・・・ほら、球、引退考えたらやっぱり結婚とかしたいんでしょ?」
「え!?」
「それでね、普通に結婚は無理だからー養子縁組とかになるじゃない?」
「いや、待って・・・母さん・・・それ・・・え?」
「最初はたけちゃんにうち来てもらえばー・・・って思ったんだけど、清奈は嫌だっていうしー・・・」
「当たり前でしょ!柚木くん奪っといて更に息子奪っていくってどういうこと?!」

清奈の肩をまぁまぁと叩くのが柚木の父

「だから、私、妥協点だしたの!」
「なんだよ・・・」
「柚木くんの息子頂戴って」
「頂戴って!!!母さんっ!」
「清奈・・・言い方!」

祥子がめっと指を立てるとその指をペチンと払い落とした清奈が球を見つめる

「球くん、うちに来るなら私は構わないよ」
「・・・ま・・・待って・・・なんでそんな話に・・・」
「そうだ・・・そもそも球さん引退しないっしょ」

竹市の言葉に祥子が「あら?」と口元を押さえ球の顔を覗く

「・・・球さん?しないよな?」
「・・・まだ・・・しない・・・よ?」
「球」

戸惑いそう答えた球に祥子の声が凛と響く

「確かにあなたは速く泳げる。でも、闘争心に欠ける・・・それはずっと私も言ってきたわよね?そして、最近のあなたの試合、どう?そんなモチベーションのままこれからも現役で続けるの?それよりも可能性のある子を世に出したほうがいいんじゃない?いつまでも選手の座に居座っていたって何も変わらない」

球は頷く。試合に勝つことは大事だった。でも、勝たなくてはいけないというプレッシャーにいつも押しつぶされそうになる。恵まれた体型があるのだから。恵まれた血筋なのだから。恵まれた環境なのだから・・・勝って当然。でも、球には違う。確かに速さは体型のお陰か血筋か環境か・・・判らないけれど速かった。国内では負けないくらいの実力もあった。けれど、海外に出れば気が緩む・・・

自分よりも体が大きい選手がいるのだから勝てなくても納得してもらえる・・・

そんな甘え。こんなこと誰にも言えないし言っていないのに母にはバレていた。タイムは国内での試合と大して変わらなかったけれど明らかに戦う泳ぎではないのを見抜かれていた

「たけちゃんと幸せなのは判る。でも、たけちゃんとの時間が長ければ長い程、球は勝ちなんてどうでもよくなってきた」
「・・・でもね、母さん」
「引退したら何をしたらいいのか・・・でしょ?球は特に水泳以外何もさせてなかったから困るんでしょうね・・・働くところがなければうちで働きなさい。他の場所で選手を育てるのもイイ。なんだってできるから・・・」

球はただ黙って唇を噛む
黙っていたこと。秘密にしていたことがすべて母には判っていて・・・それがとても恥ずかしくて悔しくて・・・







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実はたけちゃんお母さんが祥子ちゃんと昔ライバルだったって設定は最初からあったんだけどそう言えば出してもなかったとこんな所まで来てから思い出した水尾でした
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