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竹市くんと柚木くん9-3 - 08/16 Tue

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で 番外編
「あとね、急にこんな話しだしたのは・・・海外行かなくたってここにいてもいいのよって言いたくて」

球がハッとした顔で顔を上げると祥子はただ微笑んでいた

「もちろん、海外行くのもイイと思うわよー・・・球の可能性も広がるし・・・」
「私もイイと思うけどねー・・・んで、たまに海外旅行行くとき泊めてもらうの!祥子ー!イイでしょー!それ」
「ふふ。私と行くの?」
「あー、まぁ・・・和解したし?」

清奈が笑うと祥子も笑う

「和解ってなに?」

余りにもついて行けない話に竹市がそう聞くと清奈が膨れた顔で口を開く

「昔さー、柚木くん目当ての合コンがあったわけー・・・そん時、遅れてきた祥子が柚木くんのハートかっさらって行ったんだよねー・・・私、裏工作までしたのにホンット・・・ホンット・・・あざといったらない」
「あざとい・・・っていうか、私の靴持って行っちゃったの清奈でしょう?」
「柚木くんはその頃からホント紳士でカッコよくってねー!靴間違えられて履けない・・・っていう祥子のことおんぶして店から出てきて悲鳴が上がったわ。マジで。私も叫んだけど」

柚木の父はただ苦笑し、竹市の父もそれを思い出すように笑った

「たけちゃんのお父さんはねー、オレの大学の同級生ー」
「え!」
「柚木朋希って言ったらオレらのヒーローだったけど、オレが本命だって言ってあった祥子ちゃんをサクッとお持ち帰りしちゃう薄情な奴でもあったんだよなぁ・・・」
「や、えー・・・竹市、ごめんってぇ」
「そんなこんなで本命に逃げられた者同士が意気投合してなんだかんだあってあんたが産まれたわけ」
「・・・なんか・・・妥協で生まれてきたようなこと言われてる気がする」

竹市はもう満腹・・・と言った表情で球を見るとただ微笑み返されて目を逸らす
知らなかったことをたくさん聞いてしまった。引退のコト、海外移住のコト。大事なことはずっと話しあっている。そう思っていたのにそれは自分だけが思っていて実は球には秘密がたくさんあるのではないかという疑惑

「でもさー、洋司のことをこの柚木くんそっくりな球ちゃんが惚れたっつーのはすっごい気分いいよねぇ・・・」
「オレはそんな気分良くはないけど」
「イイじゃん。洋司私に似てるしー・・・あぁ、柚木くんが私にそっくりな息子に惚れた・・・そう考えたらすっごいイイ!」

酔っぱらって出来上がっている母がどうしようもないことを言っているけれどもう頭に入ってこない。ただ、球がずっと大きな隠し事をしていたのだと思うとただただ胸がもやもやとするのだった








柚木の家には今、舞しかいないのだから泊まっていけばいい。そう言われたけれど最初からそのつもりはなくてホテルを取っていた2人は養子縁組の話はひとまず保留と言う方向でまとめてホテルへと足を向けると移動の間ずっと黙ったままの竹市に球は不安になって来る
養子縁組だなんて竹市の中ではそんなつもりもなかったのかもしれない。親にもなんとなく秘密のままいたかったのかもしれない・・・そう思いながら爪を弄った

「たけちゃん」
「ん?」

部屋へ入ると球は竹市の腕を引いて竹市を抱きしめる
今日会った時からずっと抱きしめたかった。抱きしめられたかった相手。やっと腕に竹市の体温を感じられるのに抱き返してくれる手がなくて恐る恐る竹市の顔を覗きこむ

「・・・先、シャワー浴びようか」
「え・・・?あ、うんっ!じゃ、じゃあえっとたけちゃん先入る?」
「ん・・・」

抱き返してはもらえなかったけれどその代わりに軽く唇にキスをしてくれた竹市にテンションを上げて球は荷物を開けていそいそと準備をする

久し振りの逢瀬。もう竹市が浮気するとか心配はしていない。自分の代わりにやってきた秀もいるし、直接連絡すると会いたくてしかたなくなるから秀や流に話を聞いていたけれど女の影さえも感じないようだったし不安になることは何もない。でも・・・今日、会った竹市はどこかいつもと違って・・・やっぱりさっき実家で言われたことを気にしているのだと思うと胸が苦しくなったのだった





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柚木父の名前・・・どこかに設定してあったはずなのに行方不明・・・どこだ・・・どこだ・・・と見つからないまま新しい名前を与えたという・・・
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