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愛だとか運命だとか11《最終話》 - 08/30 Tue

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ヒトシが部屋を出て行くとそっとカギを締め、自分の首を撫でる。でこぼことした歯形を指先に感じてひとつため息を吐くと部屋に備え付けられた鏡を見る

「・・・」

いつも鏡に映る自分が嫌いだった。αを惹き寄せる為に美しい容貌。けれどそれを歪ませるようにできた眉間の皺・・・Ω性を憎み、αの身勝手さを憎んでこれまで来た。番なんて一生作らない。そう自分に誓いながらもそれに反するような体の反応・・・繁殖適齢期に入ったΩなら仕方ない。そうは判っていても許せない毎日・・・

しかし、ヒトシと番になってしまった今になってみればさっきまでの自分の考えがバカらしく思えてくる。考え方の変化・・・自分をこんなにも中から変えてしまうα・・・

αに捨てられ絶望したカンナも番になった瞬間はこんなにも幸せだったのだろうか・・・そう思うとなんとも言えない気持ち。ヒトシに突然捨てられるかもしれない。その恐怖はまだ拭いきれてはいない。けれど、信じたい。信じてみようと思う・・・

「番・・・だもんな・・・」

そっと鏡に微笑むと鏡の中のムツキも自分に美しい笑顔を見せてくれた






「誰の指示でこんなクソみたいな報告書書いてんだよ。バカ。αは賢い?能力高い?お前どこの学校出てんだ?あ?」

今日も変わらず研究所ではムツキの怒号が飛ぶ。そして辞めていくα達。呆れながらもついて行くΩ達・・・
ムツキがヒトシと番になった。その話はその日のうちに研究所の全員が知ることとなったが、もともとパートナーとして長く付き合っていた2人がやっとか・・・という反応だけ

「まぁまぁむっちゃん、イライラするからイライラ抑えるハーブティーでも飲もうかー?」
「・・・」

そして少しだけ変わったこと
ムツキがヒトシの前だけで少しだけ素直に可愛らしくなること

「むっちゃん、こっちはオレの報告書」

ムツキがヒトシの淹れたお茶を飲みながら報告書に目を通すと「まぁまぁ・・・だな」と呟く

ヒトシも番を持ってからは今までよりも態度も仕事もαらしくなってきたこと・・・

「フフ・・・2人とも少し大人になったように見えます」

ツカサが笑顔でムツキにレジュメを差し出す

「なんだ?」
「z003の疑似フェロモン・・・オレなりに抽出して解析回してたんですけどー・・・これ見たらムツキさんも安心するかなぁって」
「・・・は?」

ムツキは中身に目を通すとそれを投げ捨てる
ツカサは「あーあー」と言いながらそれを拾う。そういえばこの光景はよく見ていたけれど実際に自分の書いたレポートもカルテも捨てられたことがなかったな・・・と思いながら

「何?何が書いてあった?ツカサちゃん、オレにもそれ見せて」
「ダメだ。ツカサ、お前のフェロモン抽出とか未熟なんだよ」
「そうですかぁ?ついでに言うとムツキさんたちが突然行方不明になった後、z003の疑似フェロモン放出器官潰したのもオレですけど?α去勢はカンナ博士にやってもらいましたけどー・・・」
「な・・・」
「あー、学校行き直してムツキさんみたいに博士号取ろうかなぁ・・・タイチさんも応援してくれてるし・・・」

ムツキはダンっ!と机を叩いたが、ツカサが博士号取ることには異論がないことに気付いてそのまま「うーん」と唸る
ぼーっとしていて頼りなく見えていたツカサが優秀なことぐらいムツキも十分知っているし、優秀な研究員が増えるのも嬉しいこと

「んー・・・どれどれ」
「あっ!!!」

ヒトシがツカサの手からレジュメを取るとその内容に目を通して口元を押さえる

「・・・あー・・・むっちゃんむっちゃーん」
「なんだよ」
「これって、オレが運命の番なんじゃね?」
「ないっ!!!大体もし運命だったら最初から抑制剤も感じないハズだろ!バカ」
「でもさぁ、最初からオレのフェロモンに感じてたんでしょー?オレ、通常の3倍の抑制剤いつも飲んでるからフェロモン出てなかったかもだけどー、むっちゃんも普段から規定以上の抑制剤飲んでたけどオレのフェロモン前にしたら感じちゃったんでしょー?ねぇーむっちゃぁーん」

ニヤニヤとするヒトシの手からレジュメの束を奪ってシュレッダーへと投入する
フェロモンはDNAのようにαそれぞれが違うため、特定しようと思えば特定ができる・・・
疑似フェロモンのタイプで1番似たタイプとして名前が挙がったのがヒトシの名前・・・

「まぁ、ヒトシさん、見た目と態度に反してすごいαの能力値ですからねぇ。α能力値だけで言ったら国盗りだってできますよ・・・でも、疑問はですねぇ・・・ヒトシさんのフェロモンどこで手に入れたんでしょう?」
「あー・・・梶野家のαフェロモン自体欲しがる奴多いからなぁ・・・高値で売れるんだよなぁ・・・っていうかさりげなくオレのコトディスったよね?ツカサちゃん」
「お前・・・」
「えー?10年以上前の話なんて時効でしょ?むかーし、確かにオレ、フェロモン献体したわ。金に困って。あれが何になるかだなんて全然判んなかったけどまさか疑似フェロモンとかなぁ?思いつくわけないしー!」
「ヒトシーーーーーーっ!!!!!」

それは仲のいい番がじゃれあっているようにしか見えなくてツカサはただ微笑んだ

「抑制剤、飲みすぎるのもよくない・・・っていうのが今回のムツキさんとヒトシさんで判りましたね。次の論文、オレ、これで行きます」
「いや、ツカサ、待て・・・」
「運命の番について書いた論文、結構イイ評価貰って本にしないか?とかあったじゃないですか?オレ、博士じゃなくてライターになるのもいいかもしれないなぁ・・・」
「いや、ツカサ!おいっ!待て!!!」



相変わらず研究所からは今日もムツキの怒鳴り声が響く

でもきっとそれは幸せの声

怒鳴り声の後には甘く甘くヒトシがムツキを宥めるかのように囁き続けるのだから




愛だとか運命だとか  おしまいおしまい







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お付き合いありがとうございましたー

もうΩバース設定は書かない。そう毎回思うわけですよ。でも、どうしてもどうしてもムツキをそのままにしておくのが悲しかった。だってムツキ、私にはすごく可愛い受だからwww

明日からはやっと・・・やっとUPできるかなぁ・・・ずっとUPしたかった彼らのお話をー・・・
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