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ビタースウィート1 - 09/30 Fri

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大して大きくもないシステム会社を立ち上げて数年・・・事業も運良く軌道に乗り、新入社員も今年は入ることになった春。季節が春から夏へ変わる頃、社長である彼、山本 義成は胸に衝撃を受けて蹲っていた

その衝撃は比喩的な衝撃ではない・・・

実際に衝撃を受けて蹲っていた


「大丈夫っすかー?」
「・・・だ・・・大丈夫じゃない・・・」
「大袈裟っすねぇ。社長」

新入社員の真山 友己がため息を吐きながらしゃがんで山本の腕を支えながら立ち上がる

「・・・っつかー、社長がいきなりオレの後ろにいるのがよくないと思いません?」
「ご・・・ごめんなさい・・・ってなんでボクが謝るの?ねぇ?真山くんっ!」
「ん?だって、ぶつかってきたの社長ですよね?」

面接の時からこの態度・・・それでも入れたら面白いかもしれないと思って内定を出したことを山本は今になって後悔していた
仕事はできる。そして、先輩社員からも可愛がられ、客先へ行かせたら行かせたでやっぱり可愛がられる真山は入社3か月で既に新しい契約もとって来た程・・・

「真山くん・・・まぁ、うん。百歩譲ってぶつかったのはボクだということにする・・・でも、それでも謝るべきだよ。ボクじゃなくて例えば・・・そう。羽鳥さんとかだったらどうするの?」
「羽鳥さんだったら謝ります」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

山本自身もまだ若い30代・・・だが、今どきの若者は・・・とは思わずにはいられない1日だった





「なぁ・・・松島ぁ・・・オレ、どうしてなめられるんだろう」
「何?また真山?」

会社を共に立ち上げたシステム担当の昔からの友人、松島 栄太に酒を飲みながら愚痴るのは近頃の山本の日課。それを笑いながら慰めるのが松島の役目

「真山くんが優秀なのはわかるけどさぁ・・・どんどんオレの立場なくなってきてない?」
「まぁ、お前がいなくちゃうちの会社回らないっつーのはうちのみんなも判ってると思うよ?」
「ホント?オレいないと回らない?」
「おう。回らない回らない」

松島が机に頭をつけている山本の頭をポンポンと叩くと山本はやっと顔を上げてグラスに残ったビールを飲み干した

「よし!明日もまた頑張る!」
「おう。お前の営業力には期待してんぞー」

小さい会社。山本は肩書きは社長ではあったが、1番動き回って、契約を取りに行ったり社員をフォローしたりしているのは社員もよく知っていること





「え・・・誰の?これ?」

翌朝、出社すると机の上にコンビニの袋がドンと置いてあって山本は困惑する。一瞬嫌がらせでゴミを乗せてあるのかと思ったけれど袋の中にはコーヒーとシュークリームが1つ
それが誰のものか判らない

しかし皆、首を傾げたり首を振ったりするだけで誰のものか判らなかった

山本は一つため息を吐いて会議に使っている部屋に置かれた小さな冷蔵庫へシュークリームを片付けに行った



「それ、社長の」
「え?」

冷蔵庫を開けると後ろから声がして、振り返ると真山の姿

「昨日のお詫び?」
「・・・え・・・あ・・・ありがとう」
「だから食って」
「い、今?!」
「社長、またこれから出掛けるんでしょ?だから今、食って。昼まであったらオレ食っちゃうから」

一応彼なりの気遣いだったのか・・・と思って山本は会議室の椅子に座るとコンビニの袋からシュークリームとコーヒーを取り出す

「なんでシュークリーム?」
「あー・・・オレが好きなだけ」
「真山くん意外と甘いもの好きなんだ?」
「あぁ、なんで黙って食えねぇのかなぁ・・・ホントおじさんってヤダ」

おじさんという言葉に凹みながらシュークリームを齧るとバニラエッセンスの香りが鼻に拡がって口の中に甘さが拡がった

「ありがとう・・・ね」
「ん」

山本がシュークリームを齧ったことに満足したようで真山は会議室を出ていった。真山の姿が見えなくなったのを確認した後山本はコーヒーを一気に飲み込んだ

山本は甘いものが苦手なのだった・・・





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そのままスターサファイアUPしようと思ったけれど、少し各時間に余裕が欲しいので、単発で溜め込んでいたこちらをUPすることに・・・
水尾が昔SEだったのもあって、書きやすいPG、SEのお話ストックが多すぎる
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