獣4 - 04/20 Mon
給料日が来た次の休みの日、少ない給料を持って佳世子の部屋を訪れた。
「なーに?これ?」
「・・・金」
「なんで?」
「食費」
「やだなー、要らないってばー」
そう言って押し返す。
ここのところ、毎日夕飯を作ってもらい、更には先週から弁当まで作っちゃった。と持たされていた。だんだん彼女のペースにはまってきていた。
「じゃあ・・・お詫び・・・」
「なにー?お詫びって・・・」
「お前の母親を・・・」
「だーかーらぁぁぁ!もー!要らないったら要らなーいっ!あ、悪いと思うならあたしと付き合ってよぉー!」
佳世子の望みは「川越と付き合いたい」ただそれだけだという。
「それは・・・」
「いーよー!あたしのこと好きになってくれたらで!まずは胃袋から掴んじゃうんだからー!あ、今日はメンチカツだからねっ!」
そう言って扉が閉まる・・・
川越はお金の入った袋を持って歩き出した。
「じゃーんっ!メンチカツ来たよーーーーんっ」
夕方、大皿いっぱいに乗ったメンチカツを持った佳世子が部屋にやってきて、川越の目の前にどーんと置いた。
「・・・多すぎる」
「たっくさーん食べてっ!」
「・・・いただきます」
食べても食べてもやはり残ってしまうメンチカツ。美味しいのだが、2人で食べきれる量ではなかった。
「お腹いっぱーいっ!苦しいー」
「・・・これは入るところあるか?」
川越は立ちあがると冷蔵庫からかわいらしい箱を取り出して佳世子の目の前に置く。
「え?!」
「・・・」
「あ、あたしにっ?!」
「あぁ」
川越はタバコに火をつけると目を輝かせている佳世子を見つめる。
恐怖なんてとっくに消えていた。
自分を信じると言う佳世子。毎日好きと言ってくる佳世子に悪い気はしなくなっていた上に、こんなケーキまで買って喜ばせようとしている自分に一番驚いていた。
「ショートケーキだー!わーいっ!嬉しいーっ!」
「腹いっぱいなのに食えるか?」
「やだなぁー別腹!ってゆーのがあるじゃんかー」
喜ぶ姿に思わず微笑む川越。可愛い・・・
自分が犯罪者じゃなかったらとっくに付き合えただろう。彼女の母親を殺したという犯罪者でさえなかったら・・・
殺したのは自分ではない・・・それは自分が一番よく知っている。
だが、殺した犯人にされていた。
「これ以上あんたのこと好きにさせてどーする気よー!もー」
「お前は付き合ってどうしたいんだ?」
「ん?付き合って毎日好きって言う!」
それじゃ今と変わらないじゃないか・・・
そう思って川越はまた微笑んだ
「あとはー・・・うーん。そうだなぁ・・・付き合ってー結婚してー子ども産みたい!」
「・・・」
「そんでねー、毎日あんたと子どもに大好きって言うの」
普通の生活が送りたい。そう佳世子は付け加えた。
普通の幸せな生活が送りたい・・・
それならば相手が川越ではよくないのではないか。母親殺しの犯人と被害者の娘が幸せな生活を送れるものなのだろうか
「あー、もーホントこれ以上入らないー苦しいー!動けなーいっ」
ショートケーキを食べきるとその場で横になってお腹をさする佳世子。
「牛になるぞ」
「女の子にそれは禁句ー!」
「食ったなら帰れ」
「もー!ケーキ買ってくれるくらい優しいのに愛が足りなーいっ」
ぶうぶう言いながらも残ったメンチカツを手にして佳世子は玄関を出る
「おやすみ?」
「おやすみ」
もう習慣になった挨拶。
その習慣に幸せを感じ、怖かった夜が怖くなくなった自分自身が怖くなっていた。幸せになるのは怖い・・・
「なーに?これ?」
「・・・金」
「なんで?」
「食費」
「やだなー、要らないってばー」
そう言って押し返す。
ここのところ、毎日夕飯を作ってもらい、更には先週から弁当まで作っちゃった。と持たされていた。だんだん彼女のペースにはまってきていた。
「じゃあ・・・お詫び・・・」
「なにー?お詫びって・・・」
「お前の母親を・・・」
「だーかーらぁぁぁ!もー!要らないったら要らなーいっ!あ、悪いと思うならあたしと付き合ってよぉー!」
佳世子の望みは「川越と付き合いたい」ただそれだけだという。
「それは・・・」
「いーよー!あたしのこと好きになってくれたらで!まずは胃袋から掴んじゃうんだからー!あ、今日はメンチカツだからねっ!」
そう言って扉が閉まる・・・
川越はお金の入った袋を持って歩き出した。
「じゃーんっ!メンチカツ来たよーーーーんっ」
夕方、大皿いっぱいに乗ったメンチカツを持った佳世子が部屋にやってきて、川越の目の前にどーんと置いた。
「・・・多すぎる」
「たっくさーん食べてっ!」
「・・・いただきます」
食べても食べてもやはり残ってしまうメンチカツ。美味しいのだが、2人で食べきれる量ではなかった。
「お腹いっぱーいっ!苦しいー」
「・・・これは入るところあるか?」
川越は立ちあがると冷蔵庫からかわいらしい箱を取り出して佳世子の目の前に置く。
「え?!」
「・・・」
「あ、あたしにっ?!」
「あぁ」
川越はタバコに火をつけると目を輝かせている佳世子を見つめる。
恐怖なんてとっくに消えていた。
自分を信じると言う佳世子。毎日好きと言ってくる佳世子に悪い気はしなくなっていた上に、こんなケーキまで買って喜ばせようとしている自分に一番驚いていた。
「ショートケーキだー!わーいっ!嬉しいーっ!」
「腹いっぱいなのに食えるか?」
「やだなぁー別腹!ってゆーのがあるじゃんかー」
喜ぶ姿に思わず微笑む川越。可愛い・・・
自分が犯罪者じゃなかったらとっくに付き合えただろう。彼女の母親を殺したという犯罪者でさえなかったら・・・
殺したのは自分ではない・・・それは自分が一番よく知っている。
だが、殺した犯人にされていた。
「これ以上あんたのこと好きにさせてどーする気よー!もー」
「お前は付き合ってどうしたいんだ?」
「ん?付き合って毎日好きって言う!」
それじゃ今と変わらないじゃないか・・・
そう思って川越はまた微笑んだ
「あとはー・・・うーん。そうだなぁ・・・付き合ってー結婚してー子ども産みたい!」
「・・・」
「そんでねー、毎日あんたと子どもに大好きって言うの」
普通の生活が送りたい。そう佳世子は付け加えた。
普通の幸せな生活が送りたい・・・
それならば相手が川越ではよくないのではないか。母親殺しの犯人と被害者の娘が幸せな生活を送れるものなのだろうか
「あー、もーホントこれ以上入らないー苦しいー!動けなーいっ」
ショートケーキを食べきるとその場で横になってお腹をさする佳世子。
「牛になるぞ」
「女の子にそれは禁句ー!」
「食ったなら帰れ」
「もー!ケーキ買ってくれるくらい優しいのに愛が足りなーいっ」
ぶうぶう言いながらも残ったメンチカツを手にして佳世子は玄関を出る
「おやすみ?」
「おやすみ」
もう習慣になった挨拶。
その習慣に幸せを感じ、怖かった夜が怖くなくなった自分自身が怖くなっていた。幸せになるのは怖い・・・

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