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ビタースウィート5 - 10/04 Tue

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それから夏・・・山本は仕事が忙しくなる。社内も仕上がらないソフト開発に追われ、残業の毎日・・・ついこの間まで余裕があったのが嘘のように納期に追わていた

「松島部長」
「ん?」
「無理です」
「無理って言うから無理なんだ。諦めるな!・・・って言いたいけどなかなかきっついよなぁー・・・でも、今日社長が納期引き伸ばしに調整行ってるから・・・」
「違う。じゃなくって・・・社長、休ませてください」

定時なんてとっくに過ぎたあと。そもそも、定時ってなんだったかよくわからないし、何時だったかもわからなくなってはいたが、とにかくそんな時間に松島のもとに来たのは真山だった

「休ませろっつったってなぁ・・・あいつ、仕事命だから・・・」
「でも、あの人最近帰ってもないですよね?仕事終わった後、ここでなんだかんだ残業して帰ってませんよね?」
「・・・また帰ってねぇのか・・・」
「社長倒れたら回りません」

松島は「うーん」と唸りながらどうしたものかと考える。言ったところで素直に帰って休むような男ではないのは長い付き合いの中でもう判っていること

「っつか、お前も帰ってなくね?休みも出勤いつもしてるだろ?」
「オレは・・・家にクーラーもテレビもパソコンもないんで仕事してたほうがマシなだけっす」
「・・・何それ・・・」
「いや、オレはイイんだってば!だから社長、今日の朝とか顔色悪かったし早く休ませてください」

松島はまた「うーん」と唸りながら頭をひねるが、思いついたように真山の両肩に手を乗せる

「真山、お前、社長と帰れ」
「は?」
「あいつん家、部屋余ってるし、部屋も快適だし!お互いにお互いを見張ってれば嫌でも休めるだろ!よし。そうしろ!そうした!決めた!山本に連絡しとこーっと」
「・・・なんで決まってんだよ」
「おいおいー。オレ、キミの上司なー?」
「おっさんめ・・・」

真山は悪態をつきながらその場を離れて再びパソコンへと向かった



「松島ー、メール見たけど何?どういうこと?」
「あー、お疲れー。真山もお前もちょっとは休養必要。二人ともひでぇ顔してるから・・・とりあえず二人とも今週末は帰れ。真山ん家はクーラーないから仕事来ちゃうらしいからお前ん家に泊めてやれ。っつーことでお疲れー。今日はもう帰って寝て明日来る」
「ちょ・・・松島!」

山本は松島の背中を追おうとするが、さっさとエレベータに乗り込んだ松島をそれ以上追うことができなかった

「・・・真山くん、聞いた?」
「らしいっす」
「あー・・・まぁ、いいや・・・ひと段落ついたらとりあえずボクの家帰って休もうか」
「ご飯も食べたい」
「あぁ、そうだ・・・ご飯も食べよう」

山本はパソコンをつけるとパソコンが立ち上がるまで目元を押さえて天井を見上げる
ちゃんとベッドで寝たのはいつだったか考えてもいまいち思い出せない。とりあえず、今日は早く寝よう・・・走れなくなったらおしまいだと思いながら目を開けて立ち上がったパソコンに向かった




「・・・ごめん・・・もっといいところ連れて行ってあげたかったけど・・・時間的にこんなところに・・・」
「ファミレスの何が悪いんすか?オレ、ファミレス自体も久々っすよ」

二人の仕事がひと段落したのはもう日付も変わるころ・・・24時間営業のファミリーレストランぐらいしか開いていない時間だった

「好きなの適当に頼んで」
「社長・・・デザートも食いたい」
「うん。好きなの食べなよ」
「・・・何にしようかなぁ・・・」
「デザートしか選んでないように見えるけど・・・」
「ダメっすか?」
「ちゃんと食べてから!」
「ちぇ・・・」

まるで子どものようだと思いながら目を細める。ひとまわりも年下の新人社員。新人なのにこの忙しさに文句の一つも言わず、それどころか先頭を切るようにして仕事をしている彼を見ると少し走りすぎなのではないかと心配になる
顔色も相変わらず悪いままだし、更に痩せたような気がして・・・

「真山くん、また痩せたね」
「あー・・・金なくて食ってないんすよね・・・」
「なんでそんなにお金ないの?うち、そんな給料安かったっけ・・・安いのかなぁ・・・」
「や、給料は普通にイイと思いますよ?うちみたいに小さい会社にしては!でも、借金あるんすよね・・・オレ」
「そうなんだ・・・」

さり気なくディスられた気もしたが、それよりも真山のことばかり気になってしまう。松島からクーラーもテレビもパソコンすらもないと聞いてはいたが、借金でそんなにお金に困っているのは初めて知ったこと
そりゃあ日々の食費もままならないはずだ

「社長も痩せましたよね」
「あぁ・・・そうかな・・・でも、中年太りが気になるお年頃だからまぁ、イイよ」
「・・・社長は全然・・・」
「あ、来たよー。食べよう食べよう」



食事が終わると真山はうきうきしながらデザートに舌鼓を打つ

「社長は?」
「んー?オレは酒があれば・・・」
「あ・・・もしかして甘いもの・・・苦手?」
「・・・実はね」
「シュークリーム失敗したか・・・」

真山はため息を吐きながらそう言ったのを見て慌てて山本は首を振った
そういえば、日々の食事もままならないのにあの時、自分へシュークリームと缶コーヒーを買ってくれたのだ。お詫びとして・・・

「や、あれ、あれはおいしかったよ!うん。えっと・・・甘くて・・・えーっと甘くて・・・」
「無理しなくてイイし。なんだー・・・甘いもの苦手なのか」
「あー、ごめん」
「その時に言えよ・・・マジで・・・」
「でもね、嬉しかったんだよ。真山くんは優しい子だって判ったから」

優しい子と言われて真山は思わず恥ずかしくなって下を向いてマンゴーのパフェを見つめる

「なんか久し振りにゆっくり食事してるなぁ・・・」
「オレも甘いもの久し振り」
「お互い、ちょっと仕事し過ぎだったかもなぁー」
「ですね・・・」

結局、デザートだけは2つ完食して満足そうな真山の顔を見てから山本は伝票を持って立ち上がり、帰路へとついた





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さて。私はホントにいつ時間が・・・まとまった時間が・・・

あと数日中に時間を作り出さないとまたグダグダになる予感・・・
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