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ビタースウィート10 - 10/09 Sun

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「んでー・・・?久々に飲めると思ったら何その展開」
「大体お前に彼女できてからオレはさぁ・・・」
「んー?じゃあ山本、真山はオレの代わり?」

仕事も落ち着き、早めに切り上げると久々に行きつけの小料理店で少しの肴と酒を楽しむ山本と松島

「代わりっつーか・・・なんていうかなんだろ・・・オレの中の罪悪感を勝手に真山くんで消化している感じなのかもなぁ」
「なにそれ」
「っていうかさぁ、酷いんだって!会社よりも会社出てからの真山くんの方がなんていうか・・・酷い」
「あー、なんか想像できたわ」

帰社早々に「こんな無茶な契約取って来るからこっちが迷惑すんですよ!」と真山に怒鳴られていた山本を思い出して思わず笑いがこみ上げる
年上で、一応社長である山本に面と向かって真っすぐ物言う真山は憎たらしいとは思っても松島にとっても可愛い存在
仕事はできるし、口では文句を言うクセに無理な要望も応えてくれるから社内で1番若いのに頼りになる男だった

「で、今日真山は?1人でお前の部屋帰ってんの?」
「どうだろ・・・部屋は一緒だけど家でご飯以外で顔合わせることほとんどないし、お互い自由に気ままな生活だよ」
「へぇ・・・でも、まぁ確かに最近、色艶良くなってきたかもなぁ」
「だよなぁー・・・クマも薄くなってきたし。あとはもう少し肉つけばいいけどー」
「いや、お前の話な?」

松島の言葉に首を傾げる

「こないだまですっげぇ忙しかったっつーのもあるけどお前も相当酷ぇ顔してたからな」
「あー、忙しかった・・・ホント忙しかった・・・」
「おう。お疲れさんー!」

松島の掲げたグラスに山本もチンと合わせて乾杯すると山本はふにゃりと笑った







「ともちゃーんっ、寂しかったぁ!」
「そう?」
「だって突然引っ越すとか!もぉ!あたしに断りなくイイ人見つけるなんてっ!」
「サチコさんとオレってそんな関係でした?」

もぉぉぉ!冷たいっ!と言いながらカウンターの向こうから真山のグラスに酒を注ぐ

「頼んでないし金ないんだけど」
「判ってるわよっ!でも、あたしがこうしたかったのっ!奢りよっ!奢りっ!で、相手は?あの時の社長さん?」

真山はふーとひとつため息を吐きながら「サチコさんの想像してるようなことはないよ」と言いながら琥珀色したグラスの中身を見つめる

「えー?でもさぁ、ともちゃんから前に聞いたタイプのまんまその人!って感じだったじゃない?」
「・・・そうだっけ?」

長身で優しくて笑顔が爽やかで・・・男なんかに興味がなさそうなノンケ。山本には全然タイプじゃないから安心しろ。そう言ったけれど、正直、入社面接の時から胸をドキドキさせていた。でも、恋愛なんかしたらいけない。それは判っているから心の奥底に閉じ込めてカギを掛けた

「一緒に暮らしてるんだったら脈が全然ないわけでもなさそうじゃない?もう襲っちゃったらぁ?」
「何言ってんの・・・骨と皮しかないオレに勃起できんの?あんたは」
「あっらー!あんたが色っぽくあたしの前でダンスでもしてくれりゃあたしだって勃つわよぉ」
「ハハ・・・遠慮しとく。オレが萎える」
「ホンット失礼な子よねぇ」

ボロアパートのお隣さんの『元木』は『サチコ』で・・・お化けアパートに住む化け物だとか妖怪だとか言われていたけれど、本当はただのお節介な世話焼きな大家だった
真山が引っ越して来てすぐに店の名刺を渡されて、本業はこっちで奢るから1度来なさい。そう毎日のように催促されたから行ってみたら同類ばかりがいるオカマバーだった。妙に居心地が良くて奢りだという酒をかなり飲まされ、いつの間にか出逢って間もないサチコにカミングアウトしていた

「最初からなんとなくそうじゃないかって思ってたの」

そう笑ったサチコの前で泣いたのは覚えているけれどそこから先は今でも全く思い出せない。どうやって家に帰ったのか、どうやって布団で寝たのか・・・

「でー?どうすんの?」
「何が」
「社長さんとよぉ!このままお世話になるだけ?」
「金、返し終わるまでは・・・」
「返し終わるってあんた・・・」
「まぁ、そのうちなんとかしてあの人の部屋は出るよ」

サチコは「そう」と言いながら酒を注いでから一口も口を着けていないグラスにさらに酒を足す

「ちょっと」
「飲みなさいよ。あたしが奢りって言った酒よ?飲みなさいよ」
「・・・ありがとう」

仕事でも周りの人たちに恵まれて助けられ、友達にも恵まれて助けられている。自分は幸せになっちゃいけないのにどうして神様は自分を幸せにしようとしているのか・・・そんなことを考えながら琥珀色の液体をチビチビと舐めるように飲み込んだ







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水尾の中で、バカっぽい友人位置の子はすごくすごく動かしやすいのです
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