ビタースウィート11 - 10/10 Mon
「カメ吉ー、真山くんはどうー?お前にもご飯くれるもんなぁ・・・優しいよなぁ・・・」
ペットのカメのカメ吉に話し掛けるのは同居人ができた今でも相変わらず。そんな山本を横目でバカにするような顔で笑う真山も山本がいない時には同じように話し掛けているのはカメ吉だけが知っていること
「っていうか、帰って来るよねぇ?」
成人した男なのだから帰りが遅いのは特に心配はしていないけれど、やっぱり一緒に暮らすことが真山の負担になっているのではないかと。いつか突然山本の部屋に帰ってこなくなるのではないか。そんな不安
「真山くん、一体どれだけ借金抱えてんだろうなぁ?このマンション支払わせたオレも相当だと思ったけどさー・・・」
天井を見上げて部屋を見渡す
プライドを傷つけられた怒りと悲しみ。その勢いで間男と元婚約者に言い放った言葉。それを了承し、すぐに出て行った元婚約者。冷静になってみれば、このマンションの値段を考えたら法外ともいえる慰謝料だったし、それを一括で支払えだなんてかなり苦しい思いをさせたのじゃないかと言うこと。今はその罪悪感を真山に元婚約者を重ねることで払拭しようとしている。自分勝手な理由で真山を使っている・・・
「あー、オレって自己中すぎー!」
そうカメ吉にため息を吐き出すとどこかで携帯が震える音に気付く
「あー、マナーモードにしっぱなしだったかなぁ」
立ち上がって掛けたジャケットに手を入れると携帯を耳に当てる
「もしもし」
『あ、もしもしぃ?山本社長さんですかぁ?』
「・・・?これ、真山くんの番号ですよね?」
さっき見たディスプレイには真山の名前が表示されていたのに電話の声は全然違う声で少し緊張する
『そうー!ともちゃんのー』
「・・・もしかして、元木さん?」
『あったりぃー!そう!やったね!イケメンに名前覚えてもらって呼んでもらえるとかホントそれだけで幸せぇ』
「えっと、真山くんの携帯からなんで」
『あぁ、そうそうー!ともちゃんがねぇ、酔いつぶれちゃってぇ。でもあたし、お店から出られないから迎えに来てくれると助かるなぁーって』
「あーっと判りました。お店の場所、教えてください」
電話の相手が判ってから少しホッとしながら店の場所を聞いた山本は財布をポケットにねじ込むと部屋を出る
日々の食事すら満足に摂れていないのに酔い潰れる程飲んだという状況に首を傾げながらタクシーへ乗った
「いらっしゃぁーいっ」
「・・・こんばんは」
店に入ると異様な雰囲気に一瞬戸惑ったが、すぐにいつもの爽やかな営業スマイルで頭を下げる
「やっだ!超イイオトコじゃない!」
「ダメよダメ!あんたが触ったらイイオトコも腐っちゃう」
「ひっどぉーい」
賑わっている店内のカウンターの隅の席で突っ伏している真山を見つけてすぐに足を向ける
「あら、山本さん早かったのねぇ」
サチコに頭を下げる山本
「連絡ありがとうございます」
「ほっらー、今まではともちゃん一緒に帰ればよかったんだけど今はもう山本さんのお世話になってるじゃない?だからお節介だけど連絡させて貰っちゃったのよぉ」
以前会った時も女性もののネグリジェだったけれど、今は化粧もウィッグもしていて、以前とは全然違う様子
「元木さん、すっぴんの方がキレイですよ」
「ええええ?!ヤダ!お世辞は要らないわよぉ!」
「いいえ。ホントですよ」
「あー、ヤダっ!山本さんったらホント人たらしぃー!」
山本は真山の肩を叩くと「真山くん、起きれる?」と声を掛けて真山の腕を肩に担ぐ
「あ、お会計。ボクが払います」
「要らないわよぉー!ともちゃんに飲ませて酔わせたのあたしだしー」
「・・・でも」
「ともちゃんからお金取れないものぉー!出世払いっ!ともちゃんがもっとお金に余裕できたら今度はボトルじゃんじゃん入れてもらうのー」
お金のない真山が酔いつぶれる程飲んだのは彼のせいかとホッとするとサチコに頭を下げて真山を引きずるようにして歩き、店を出て行った

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ペットのカメのカメ吉に話し掛けるのは同居人ができた今でも相変わらず。そんな山本を横目でバカにするような顔で笑う真山も山本がいない時には同じように話し掛けているのはカメ吉だけが知っていること
「っていうか、帰って来るよねぇ?」
成人した男なのだから帰りが遅いのは特に心配はしていないけれど、やっぱり一緒に暮らすことが真山の負担になっているのではないかと。いつか突然山本の部屋に帰ってこなくなるのではないか。そんな不安
「真山くん、一体どれだけ借金抱えてんだろうなぁ?このマンション支払わせたオレも相当だと思ったけどさー・・・」
天井を見上げて部屋を見渡す
プライドを傷つけられた怒りと悲しみ。その勢いで間男と元婚約者に言い放った言葉。それを了承し、すぐに出て行った元婚約者。冷静になってみれば、このマンションの値段を考えたら法外ともいえる慰謝料だったし、それを一括で支払えだなんてかなり苦しい思いをさせたのじゃないかと言うこと。今はその罪悪感を真山に元婚約者を重ねることで払拭しようとしている。自分勝手な理由で真山を使っている・・・
「あー、オレって自己中すぎー!」
そうカメ吉にため息を吐き出すとどこかで携帯が震える音に気付く
「あー、マナーモードにしっぱなしだったかなぁ」
立ち上がって掛けたジャケットに手を入れると携帯を耳に当てる
「もしもし」
『あ、もしもしぃ?山本社長さんですかぁ?』
「・・・?これ、真山くんの番号ですよね?」
さっき見たディスプレイには真山の名前が表示されていたのに電話の声は全然違う声で少し緊張する
『そうー!ともちゃんのー』
「・・・もしかして、元木さん?」
『あったりぃー!そう!やったね!イケメンに名前覚えてもらって呼んでもらえるとかホントそれだけで幸せぇ』
「えっと、真山くんの携帯からなんで」
『あぁ、そうそうー!ともちゃんがねぇ、酔いつぶれちゃってぇ。でもあたし、お店から出られないから迎えに来てくれると助かるなぁーって』
「あーっと判りました。お店の場所、教えてください」
電話の相手が判ってから少しホッとしながら店の場所を聞いた山本は財布をポケットにねじ込むと部屋を出る
日々の食事すら満足に摂れていないのに酔い潰れる程飲んだという状況に首を傾げながらタクシーへ乗った
「いらっしゃぁーいっ」
「・・・こんばんは」
店に入ると異様な雰囲気に一瞬戸惑ったが、すぐにいつもの爽やかな営業スマイルで頭を下げる
「やっだ!超イイオトコじゃない!」
「ダメよダメ!あんたが触ったらイイオトコも腐っちゃう」
「ひっどぉーい」
賑わっている店内のカウンターの隅の席で突っ伏している真山を見つけてすぐに足を向ける
「あら、山本さん早かったのねぇ」
サチコに頭を下げる山本
「連絡ありがとうございます」
「ほっらー、今まではともちゃん一緒に帰ればよかったんだけど今はもう山本さんのお世話になってるじゃない?だからお節介だけど連絡させて貰っちゃったのよぉ」
以前会った時も女性もののネグリジェだったけれど、今は化粧もウィッグもしていて、以前とは全然違う様子
「元木さん、すっぴんの方がキレイですよ」
「ええええ?!ヤダ!お世辞は要らないわよぉ!」
「いいえ。ホントですよ」
「あー、ヤダっ!山本さんったらホント人たらしぃー!」
山本は真山の肩を叩くと「真山くん、起きれる?」と声を掛けて真山の腕を肩に担ぐ
「あ、お会計。ボクが払います」
「要らないわよぉー!ともちゃんに飲ませて酔わせたのあたしだしー」
「・・・でも」
「ともちゃんからお金取れないものぉー!出世払いっ!ともちゃんがもっとお金に余裕できたら今度はボトルじゃんじゃん入れてもらうのー」
お金のない真山が酔いつぶれる程飲んだのは彼のせいかとホッとするとサチコに頭を下げて真山を引きずるようにして歩き、店を出て行った

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そういえば、これ、今のところどこにも恋愛要素ないんじゃ・・・
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