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ビタースウィート16 - 10/15 Sat

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「はいー!お疲れ様でしたぁー!」
「・・・はいはい」

客先トラブルで徹夜し、その後すぐに客先で契約交渉をしていた山本と松島はそれが終わるとすぐ会社へ戻り、通常営業した後、帰ろうとした松島を引きずって「祝い酒するぞー」といつもの小料理店へ来ていた

元気すぎる山本とげっそりした松島はグラスを合わせるとビールを喉へと流し込む

「お前・・・元気すぎだろ」
「いやぁ、だって、今日は契約も上手く行ったしー!」
「・・・そこは昔から尊敬してる」

松島の言葉に思わず噎せた山本

「なんだよ。尊敬って」
「そのままだろ。トラブルからお前、あんな話に落ち着かせてしかも保守と同時に新しい契約取るとかすげぇよ・・・っつか、オレらよくここまで突っ走って来たなぁ・・・と改めて思った」
「まぁなぁ・・・就職難だったし、お前やあいつは就職できるような人格じゃなかったもんなぁ」
「おい」
「だからといってすぐ起業できて成功できたのはやっぱりお前とあいつがすげぇ力あったからだと思ってるよ?」

山本は笑ってそう言うが、松島は本当に実現できたのはやっぱり山本の人望の厚さと頭の回転の速さがあったからだと思っていた。まぁ、思ってはいても口に出してはやらないのだけれども

「あー、溝端な・・・」
「あぁ、ちょっと悩んでるっぽい?」
「まぁ、今はそんな時期だろうけどな・・・実はさ、少し前、溝端と一緒に納品行った時にばったり会ったんだよ」

山本は首を傾げると松島がグラスを傾けてビールを飲み干した後「三崎に」と呟き、少しだけ固まる

「『あら、お久し振り』ってホントに『あら』っていう奴いるんだな・・・」
「真由子だから」
「あいつ、ホントやっぱり最低な奴で、オレの目の前で溝端をハントしようとしやがった」
「お前、昔からあいつと合わないよなぁ・・・なのになんで仕事は上手く行くのかオレは不思議だった」
「バカ。あいつもオレも仕事がなかったら合わないどころじゃねぇよ」

山本と松島、三崎は元々同じ大学の同じゼミ。その前から山本と松島はつるんでいたし、山本が三崎と付き合い始めてからは3人でゼミのグループ研究プログラムを作り、発表し、そして会社を立ち上げた
松島は高慢な三崎と付き合う山本が理解できず、三崎はガサツな性格の松島と山本が一緒にいる意味が判らなくて3人一緒にいれば2人がケンカをするのを山本が止める。これが毎度のコト

会社が少し落ち着き、軌道に乗った頃、結婚すると聞いた時も最初は反対した松島も納得し、結局三崎の浮気で婚約解消した時には三崎の自宅へ殴り込みに行った松島。そして、山本には「だから最初から止めておけばよかったんだ」と言った

「でも、そっか・・・溝端くん、転職悩んでたりするのか」
「三崎に言われたからってよりもその前から考えてたような気もする。真山がすごいってのをみんなが判り始めた頃から・・・溝端は与えられた仕事だけじゃなく、リーダーとして育てていこうって思ったから新しいコトばかりやらせてて、それがまた上手くいかないモヤモヤがあるのに今までいた自分のポジションにはもう真山がいて。居場所奪われた気になったのかもしれねぇよな」
「オレからしてみたら溝端くんは入ってきた頃から考えるとすごい成長したんだけどなぁ」
「あぁ、議事録2行事件とかな」
「うんうん。あと、客先へ行く途中迷子になって半泣きで帰って来たこととか・・・最近そんな面白いコト聞かないのは寂しいけどやっぱり成長してるからだよなぁ・・・人を育てるのって難しい。ホント思うよ」

3人でやっていればよかった時代は楽だった。ケンカはしていたけれど役割分担は決まっていたし、頼る人間がほとんどいない中で自分で成長しなくてはならない。そうお互いを磨き上げてきた時代・・・

「お前、溝端が辞めたいって言ってきたらどーすんの?」
「そりゃあ引き留める。でも、溝端くんがホントに辞めて別のコトしたいんだったらオレはそれ以上何も言えないよな」
「・・・んー・・・」
「っていうかとりあえずお前が引き留めろよ」
「あー?だってオレだぞ?」
「・・・松島だって実は優しいところもあるだろ?」
「いや、なんでオレに聞くんだよ。何で疑問形だよ」

山本は笑いながら松島のグラスにビールを注ぐ

「真由子と別れたとき、お前いなかったらオレダメだったし」
「・・・」
「いや、だってあいつも会社の創設に関わってたし、客先で同情されたりバカにされたりしてあん時結構キツかったもん」
「なんかそれもすげぇ昔に思えてきた」
「年取ったなぁ!オレたち!」
「加齢臭気にするくらいにな」

そう言ってまたグラスを傾けた





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議事録2行事件・・・まぁ、似たような事態に立ち会ったんだよなぁ・・・と水尾は実体験から妄想を膨らましていくタイプだったりです(だからこそ青プの水泳シーンとかに思い入れ深すぎる)
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