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ビタースウィート27 - 10/26 Wed

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目を覚ますともう明るくて、時計を見るといつも起きる時間と同じことが判る。でも、いつもと違うのは目の前に裸の山本がいて、ここは自分の部屋じゃないこと・・・

「・・・」

ずっと触れてみたかった山本の体・・・

初めて山本と会ったのは会社の面接の時だった。立花から逃げるようにして地元大手企業の内定を蹴ると縁のない土地の小さな会社に応募した。本当にギリギリの就職活動。例えブラック企業でも構わない。お金を稼いで姉に返せればイイ。ただ、望みはそれだけだった

「社長の山本です。よろしく」

望みはそれだけだったのに山本の優しい笑顔を見て、声を聞いて手を伸ばされた時に変わった。一目惚れなんて信じないけれど、きっとそう。一目惚れだった。山本の下で働けるのならば、この人に全部尽くそう。そう願った。山本のために。会社のために・・・全部尽くせる・・・そう思った

姉のことを打ち明け、一緒に住もう。そう言われた時は本当に嬉しくて困って戸惑った。与えられる優しさに甘えたくなるから。一目惚れした相手を知れば知る程溺れる程好きになっていて、優しさに勘違いしそうになるから

立花に見つかった時はこの幸せはやっぱり不幸になるためのものだと思ったけれど、何も言わず迎えに来てくれた山本・・・その次に立花に呼び出されて痛めつけられても以前よりも平気になってしまっていた。痛みを与えられ泣き、喚いて絶望するけれど、真山の帰る部屋には山本がいたから。痛い体も山本がいたから平気。山本のためになら尽くせる・・・






「社長・・・すいませんでした・・・」
「う・・・ん?」

こんな形で夢が叶うなんて思ってなくて。何度も何度もせがんでその度に優しく触れてくる山本にもうどんな態度で接したらいいかわからなくて・・・

「・・・あ、真山くん・・・おはよ」
「・・・」

目を開けた顔は真山を見つけると微笑んでくれて。真山の大好きな優しい顔で笑ってくれて

「っ・・・」
「真山くんー?どうしたー?」

昨晩のことなんてなかったような顔をした山本が苦しくて顔を歪めた真山を心配そうに撫でる

「・・・ごめんねー」
「・・・?」
「いやー、昨晩のコト、後悔してるんだろう?」

後悔・・・後悔は・・・している。山本にあんなことをさせてしまったのだから・・・

「真山くんー・・・付き合ってる人と別れなよ」
「・・・え?」
「それで、ボクと付き合おう」
「・・・っ」

真山は首を振る
勘違い。責任を取って・・・とか山本はきっと考えているから。でも、山本はそんなこと考えなくていいし、こんな・・・

「酷いコトするその恋人の方がイイ?」
「っ・・・オレ・・・痛い方が好きだからっ・・・社長みたいにっ・・・優しいのってちょっと」

山本の優しく撫でる手が止まって「そっか」と呟いた山本に胸が痛む

「体、大丈夫?」
「・・・当たり前でしょう・・・」

あんなに優しく抱かれたのなんて初めてのコト。立花にも他の人にもあんな風に抱かれたことなんてなかったのに・・・知ってしまった。優しい手を。セックスを・・・

「真山くん」
「なんですか」
「ごめんね」
「・・・なんなんですか」
「だって、いくら薬で飛んでたからって好きでもタイプでもないボクとなんて嫌だったでしょう?」
「・・・」

今すぐ好きだと言いたかった。ホントは最初からタイプで一目惚れで・・・好きで好きでたまらない。そう抱きつきたい衝動。でも、できないからただ目を伏せて山本に背を向ける

「あー・・・すっげぇやばい・・・」

真山の出て行った部屋で山本はそう呟いて立てた膝に頭を埋めた









「松島ー・・・」
「んー」

いつものようにいつもと同じ席に座ってビールをグラスに注ぐ松島はいつもよりも真剣な顔をした山本を見て顔を上げる

「オレ、真山くんと寝た」
「・・・」

ビールがコップから溢れて山本が「わわわ!」と慌てて机をおしぼりで拭くと「もー」と言いながら顔を上げる

「・・・あー、ごめん。驚かせたから?」
「いや・・・寝たっつーのは・・・つまり・・・あー・・・」
「あり得ない・・・と思うよな・・・でも、オレも、真山くんもそんな感じになって」
「っか・・・あー・・・待った。ちょっと頭整理する」

頭を抱えた松島を混乱させるつもりなんてなかったけれど、突然こんなことを告白されたら混乱するのは当然だと思いながら「悪い」と呟いた

「付き合ってんの?」
「いや、付き合ってって言ったらフラれた」
「お・・・おう・・・」
「なんていうか・・・どうしたらいいのか判らなくて・・・な」

そんなことを自分に言われてもどうしたらいいのかなんて判らないし、アドバイスなんてできるハズもナイ。でも、確実なのは山本の驚く告白を聞いた今でも山本と友人関係を辞めることはないし、偏見の目で見ることもないこと









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少しずつ・・・カメよりも遅いけれどTOPページにリンクを貼りだしました・・・ええ。遅すぎです。でも、でもっ!!!頑張るっ!!!
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