FC2ブログ

つれないキミと売れてる僕10-3 - 12/27 Tue

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
葛西がようやく落ち着き、赤い目を擦りながら晶の日記を捲りながら懐かしい想い出に花を咲かせ、やっと葛西の中でも気持ちの整理ができた気がした・・・

「そうだ、オレの秘蔵映像見たい?」
「お前の抜きネタとか別に今要らねぇけど?」
「そういう雰囲気じゃなかったよねぇ?!違うってぇ・・・」

葛西が笑いながら日記を愛しそうに撫でた後サイドテーブルに置いて口を開く

「あの映像だけはあちこちにバックアップデータ取っといたんだよなぁ・・・中身はずっと見てなかったけど・・・いつか笑って見れるんじゃないかって・・・今、その時かも」

里見は「ふーん?」と言いながら空き缶を潰し、葛西は「ちょっと待ってて」と部屋を出て行くと静かな時間がまた流れ出す
葛西が言わないのなら・・・とずっと里見も秘めていた想い。けれどそれもなくなって少しすっきりした気がした

「ただいまー」

葛西がパソコンを持って部屋へ戻って来るとすぐに里見の隣に座ってパソコンを開く
パソコンが小さな音を立てて画像を読み込み、動画が流れ出す

高校生の時の2人・・・若い自分に須野・・・いつものくだらないやりとりが流れて里見はふっと昔を思い出しながら笑う
里見の部屋・・・今はもうない想い出が詰まりすぎたあの家のあの部屋・・・こんな部屋だったかと思いながら目を細めた

『お兄ちゃんっ』

ひとつの声で里見は息を呑む
懐かしい声・・・ずっと記憶の中では呼ばれていた気がするけれどずっと聞いていなかった声・・・

『まーたお前は入って来る・・・』
『いいじゃなーいっ!須野さんのイケメン具合確認に来たのー』
『残念だがなー、須野がお前に靡くことは絶対にない』

あぁ、そうだ。昔から自分はこんな風に自信満々だった・・・須野からの愛はもう既に受けていて、この頃には須野と今の関係になるだなんて考えてもなかったけれど

『えー?そうかなぁ・・・でも、別にお兄ちゃんから須野さん奪うつもりないし、できるとも思ってないからー』
『あー?オレから奪うってなんだよ』

晶が笑う・・・
自分とよく似ていたけれど、自分にはこんな無邪気な笑顔はできない・・・そう。晶の笑顔は素晴らしい笑顔だった

『例えば10年後?30年後?50年後かもしれない。お兄ちゃんのその自慢の完璧な容姿が崩れてきたとしても隣で寄り添って微笑んでくれるのは須野さんぐらいでしょう?きっと』
『バーカ。オレは100年後だってこのまま素晴らしいんだっつーの』

10年後・・・ここからさらに50年後・・・隣で笑ってくれているのは・・・?

『葛西さんもきっとそんなのを隣で笑って見てるわよねー?』
『え?オレー?』

画像が動く・・・そうだ。葛西が映っていないのは葛西が撮っているから・・・いつもそう。普段のこんな風景撮るだけ無駄だと言っていたのにきっと将来見たくなるとか練習練習!と言ってカメラを回したがった葛西にそのうち何も言わなくなった

『お兄ちゃんは完璧だけど足りないものだってあるからそれは須野さんがいないとダメなんだってばー』
『僕は何もできないけどね?』
『ううん。できるわよー。お兄ちゃんがホントにポンコツになった時、支えられるのは須野さんと葛西さんっ』

そこで切られている映像・・・あぁ、そうだ・・・自分が本当にダメになった時。この後家族を一気に失って死のうとしたとき・・・人を傷つけ生きるのに疲れた時・・・支えてくれたのは晶の言う通りこの2人だった・・・
まるで先を見通したかのような晶の言葉・・・

「・・・なーんだよ・・・クソ・・・」
「あは・・・おかしいね・・・オレたちこんな昔の映像見て泣くなんてそんな年取ったかな」

里見は頭を抱えて湧き上がって来る熱い涙を堪え、葛西は溢れる涙をもう抑えることもない

「晶・・・やっぱりすげぇ可愛かったよな・・・」
「そうだね・・・光にそっくりだったから」
「完璧なオレに似て完璧だった・・・これ、コピーしてくれよ・・・」
「そのままイイよ。データはあちこちに保管してあるっつっただろ?それに・・・オレはもうこれ見ちゃいけないよ・・・オレにはもうユリちゃんがいるし・・・」

苦笑した葛西の頭をくしゃくしゃと撫でる
家族がいなくなった時、葛西も須野と同じように慰めてくれた。支えてくれた・・・でも、本当は里見と同じように泣きたかったんではないのだろうか・・・

「・・・オレ、ずっと言いたかった。でも言えなくて、ごめんね」
「おう」
「・・・あー、泣いた泣いたー!すっげぇー泣いたー!」
「泣きすぎだろ・・・イイおっさんが」
「オレのコトおっさんって言うなら光もだからねー?!」
「オレはおっさんじゃねぇし!」
「うっわー!同い年なのになにそれー!」

里見は笑ってタバコを咥えると火を点けて葛西の口へと咥えさせる

「晶もこんなおっさんになってるお前見たらがっかりしてフラれてたかもなぁ?」
「ないねー!ないないー!だって晶はオレの外見ばっかり見てたわけじゃないもーんっ」
「外見だったら間違いなく寛人選んでただろーが」

うんうんと首を縦に振り、そして固まる

「・・・今、なんつった・・・?」
「あー?寛人選んでただろーっつった」
「・・・ど、どしたの?!何?!何なの?!光!須野ちゃんのコト名前で呼び始めたの?!突然!何それっ!なにそれー!!!」

里見はあぁ、と頷いて「おかしいか?」と聞く
おかしいかおかしくないかで言えば、一般的にはおかしくない・・・長年友人関係で、恋人関係になって呼び方が変わるなんてことはよくあることで・・・でも、里見だ。里見が須野を名前で呼ぶ・・・


「どんな心境の変化かな・・・とは思うけど」
「別に・・・」
「・・・それって・・・突然西野 晶の話してきたのと関連してる?晶のコト話すためだけに振ったんじゃないよね?突然だもんね?」

そういえば、葛西は何かと鋭いことを思い出して里見は自分用に点けたタバコの煙を吐き出した




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

里見が寛人寛人うるさいToT
デレデレじゃんかーToT
私の里見はどこへ行った・・・ツンツンな里見・・・ToT
関連記事
スポンサーサイト



comment

コメントを送る。

URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する