つれないキミと売れてる僕10-9 - 01/02 Mon
「寛人くん!!」
酔っぱらった西野がローテーブルにドンッと拳を振り落とす
「寛人くんは優しすぎると思いますっ!」
「えー?そうかなぁ・・・僕はそうでもないと思うけど・・・」
「いいえっ!優しすぎますっ!」
ちょっと飲みすぎだと思いながら水を注文すると西野の前に置く
「ほらぁ・・・優しいー」
「んー・・・これは普通じゃないかなぁ・・・」
スタッフたちと食事に行って帰ろうとしたのに西野に連行されるように捕まった須野は困った顔をして笑うと西野に付き合って西野の行きつけの個室のある店へと移動していた
「ここだけの話・・・皐月光・・・寛人くんの大大大大大だーい親友の皐月光っ!」
「・・・」
里見の名前が出てくると真っ直ぐ前を向いて西野の話に耳を傾ける
「寛人くんと一緒に暮らしだした時あったでしょ?週刊誌賑わした頃っ!」
「うん・・・あったね」
里見が心に傷を負って外に出られなくなったあの頃・・・須野の長い長い片想い想いが実った頃。もう懐かしささえ感じてしまうけれど、昨日の出来事のように思い出しては幸せの瞬間を脳内で繰り返してきた頃
「しょーじきっ!その頃から皐月光の話は面白くなくなったっ!」
「・・・それ、どういうこと」
「何怖い顔ーっ!でも、これボクが言ってるわけじゃないですよー?作家仲間も言ってるしーそれまでの皐月光のファンが離れてるって話聞きますもーん」
「そんなの・・・彼の本は今でも売れてるし」
「そーれーはーっ、皐月光がすっごいイケメンだからでしょぉーう?あと、ミーハーたちがキャッキャ買って中身を読んでもいない系ー」
須野は口を結ぶと西野を睨むように見つめる
里見がバカにされたり貶されたりするのは須野にとって1番許せないこと。自分の演技がダメだとか言われるのは平気なのに里見が言われるのは気に入らないこと・・・
「もーっ・・・そんな怖い顔しないでよーっ・・・ボクだって皐月光に憧れてたんだからぁーーーっ!ずっとファンだったんだからーーーっ」
「・・・」
須野はひとつ深呼吸をすると「ごめん。酔ったかも」と言ってふにゃりと笑う
でも、心の中では西野に対しての怒りが煮えたまま
「そこでぇ、ボクは考えたんですよー」
「?」
「あの頃、皐月光は何が変わったかー!・・・環境だよっ!環境っ!寛人くんが甘やかして何から何までやるから皐月光がダメになったんだよぉー」
「え?」
里見の小説は読んでいるけれど何が変わって何が悪くなったのか須野には判らないこと
「寛人くんはー皐月光のために皐月光離れをするべきでっすっ!」
「・・・それ・・・え?」
「寛人くん、皐月光からの連絡来たらすーぐに帰ったりするじゃん?でもくだらないおつかい頼まれただけのこともしょっちゅうだよねぇ?」
寒い季節に外へ出るのが億劫だからとタバコを買ってすぐに帰ってこいだとか酒が切れたから買ってこいだとか・・・そんなことで帰るだなんて・・・そう思う人は多いのかもしれない。でも、どれも小さいけれど里見の頼み事。命令じゃない。里見の可愛いワガママだと笑って受け入れてきた須野には西野の言葉にただ驚く
「だぁからぁ・・・少し付き合い方変えたほうがいいと思うんですっ!ボクはぁー」
「僕が光をダメに・・・してる?」
「そーうっ!ボクはーまた読みたいんですよっ!皐月光の怖いくらいのお話がっ!」
「・・・」
「あー、寛人くん判ってないなぁ・・・寛人くんはー、ボクとご飯食べてる時何度皐月光からの連絡で帰ったぁー?」
それは大人数での集まり・・・里見からの連絡で何度早く帰ったかだなんてそんなの数えてはいられないこと。付き合っていない頃だってそう。里見からの連絡はお願いはわがままは里見に会える口実になるから・・・
「ほーらっ!だぁからー、断ることも覚えましょー?ねぇー?寛人くんだって忙しいでしょう?皐月光だって大人なんだからなんでも自分でできるでしょうー」
「・・・できるだろうけど・・・」
「だったらー!ボクに昔みたいにすっごい皐月光の大作読ませてよぉぉぉー!待ってるのはボクだけじゃないよー!皐月光のファンたちは待ってるんだよー!」
須野は目を伏せるとにっこり笑って顔を上げる
「そうだね・・・元々光はなんでもできるんだから・・・ね」
「でしょー?でっしょー?じゃーあ!さっきからピカピカ光ってるそのメールを断ってー!」
「あ、ホントだ・・・」
須野は携帯を見て入っていたメッセージに少し困った顔をして「ごめん。今いけない」そんな簡潔な文章を打ち込み送信ボタンを押した

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酔っぱらった西野がローテーブルにドンッと拳を振り落とす
「寛人くんは優しすぎると思いますっ!」
「えー?そうかなぁ・・・僕はそうでもないと思うけど・・・」
「いいえっ!優しすぎますっ!」
ちょっと飲みすぎだと思いながら水を注文すると西野の前に置く
「ほらぁ・・・優しいー」
「んー・・・これは普通じゃないかなぁ・・・」
スタッフたちと食事に行って帰ろうとしたのに西野に連行されるように捕まった須野は困った顔をして笑うと西野に付き合って西野の行きつけの個室のある店へと移動していた
「ここだけの話・・・皐月光・・・寛人くんの大大大大大だーい親友の皐月光っ!」
「・・・」
里見の名前が出てくると真っ直ぐ前を向いて西野の話に耳を傾ける
「寛人くんと一緒に暮らしだした時あったでしょ?週刊誌賑わした頃っ!」
「うん・・・あったね」
里見が心に傷を負って外に出られなくなったあの頃・・・須野の長い長い片想い想いが実った頃。もう懐かしささえ感じてしまうけれど、昨日の出来事のように思い出しては幸せの瞬間を脳内で繰り返してきた頃
「しょーじきっ!その頃から皐月光の話は面白くなくなったっ!」
「・・・それ、どういうこと」
「何怖い顔ーっ!でも、これボクが言ってるわけじゃないですよー?作家仲間も言ってるしーそれまでの皐月光のファンが離れてるって話聞きますもーん」
「そんなの・・・彼の本は今でも売れてるし」
「そーれーはーっ、皐月光がすっごいイケメンだからでしょぉーう?あと、ミーハーたちがキャッキャ買って中身を読んでもいない系ー」
須野は口を結ぶと西野を睨むように見つめる
里見がバカにされたり貶されたりするのは須野にとって1番許せないこと。自分の演技がダメだとか言われるのは平気なのに里見が言われるのは気に入らないこと・・・
「もーっ・・・そんな怖い顔しないでよーっ・・・ボクだって皐月光に憧れてたんだからぁーーーっ!ずっとファンだったんだからーーーっ」
「・・・」
須野はひとつ深呼吸をすると「ごめん。酔ったかも」と言ってふにゃりと笑う
でも、心の中では西野に対しての怒りが煮えたまま
「そこでぇ、ボクは考えたんですよー」
「?」
「あの頃、皐月光は何が変わったかー!・・・環境だよっ!環境っ!寛人くんが甘やかして何から何までやるから皐月光がダメになったんだよぉー」
「え?」
里見の小説は読んでいるけれど何が変わって何が悪くなったのか須野には判らないこと
「寛人くんはー皐月光のために皐月光離れをするべきでっすっ!」
「・・・それ・・・え?」
「寛人くん、皐月光からの連絡来たらすーぐに帰ったりするじゃん?でもくだらないおつかい頼まれただけのこともしょっちゅうだよねぇ?」
寒い季節に外へ出るのが億劫だからとタバコを買ってすぐに帰ってこいだとか酒が切れたから買ってこいだとか・・・そんなことで帰るだなんて・・・そう思う人は多いのかもしれない。でも、どれも小さいけれど里見の頼み事。命令じゃない。里見の可愛いワガママだと笑って受け入れてきた須野には西野の言葉にただ驚く
「だぁからぁ・・・少し付き合い方変えたほうがいいと思うんですっ!ボクはぁー」
「僕が光をダメに・・・してる?」
「そーうっ!ボクはーまた読みたいんですよっ!皐月光の怖いくらいのお話がっ!」
「・・・」
「あー、寛人くん判ってないなぁ・・・寛人くんはー、ボクとご飯食べてる時何度皐月光からの連絡で帰ったぁー?」
それは大人数での集まり・・・里見からの連絡で何度早く帰ったかだなんてそんなの数えてはいられないこと。付き合っていない頃だってそう。里見からの連絡はお願いはわがままは里見に会える口実になるから・・・
「ほーらっ!だぁからー、断ることも覚えましょー?ねぇー?寛人くんだって忙しいでしょう?皐月光だって大人なんだからなんでも自分でできるでしょうー」
「・・・できるだろうけど・・・」
「だったらー!ボクに昔みたいにすっごい皐月光の大作読ませてよぉぉぉー!待ってるのはボクだけじゃないよー!皐月光のファンたちは待ってるんだよー!」
須野は目を伏せるとにっこり笑って顔を上げる
「そうだね・・・元々光はなんでもできるんだから・・・ね」
「でしょー?でっしょー?じゃーあ!さっきからピカピカ光ってるそのメールを断ってー!」
「あ、ホントだ・・・」
須野は携帯を見て入っていたメッセージに少し困った顔をして「ごめん。今いけない」そんな簡潔な文章を打ち込み送信ボタンを押した

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皆さま、どんなお正月をお過ごしでしょう・・・水尾は・・・
飲んだくれておりますけどねっ!!!!
あ、書きますって。書きますってばー
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