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つれないキミと売れてる僕10-19 - 01/12 Thu

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映画が始まるとざわついていた声が一気に鎮まる

そして最初のシーン・・・

足が映って真っ白なワンピースがビルの上から落ちていく・・・

衝撃音の後ブラックアウト・・・





これは『獣』に対抗するかのような冒頭・・・
真っ赤に大して真っ白・・・

葛西のために書いてきた脚本は別に恋愛モノに限ったものではなかった。だから、今回もなんでもよかったはずなのに使った題材は恐ろしい程の愛・・・
皐月 光が得意とする恋愛サスペンスと言えるもの

そして葛西が1番撮りたいと拘ったシーン・・・

葛西が映画を撮ろうと思ったきっかけだというワンーシーン・・・
スクリーンの中は夕焼けでオレンジに染まった教室に男女のシルエットだけれど、葛西が見たのは須野と里見

学生服を着た伊月がアップになると穏やかに微笑んだ伊月が須野の顔を思い出させる
あの時、須野はどんな顔をして自分を見ていたのだろうか。この伊月と同じように優しい笑顔で?いつものあの須野の微笑みで・・・?

こんなことを考えるようになったのは歳をとったからだろうか。想い出を綺麗なものとして回想する歳になったのかそれとも自分がそこまで変わってきたというのだろうか・・・



映画はクライマックス。そして里見は自分の書いたはずの脚本がおかしいことに気付く
葛西にチェックを頼まれて見たものとも全く違う

「・・・」

自分で書いた脚本なのだから当然出版されている本の内容とも違う・・・

「あいつ・・・っ」

物語としてはこのままでも成立する。でも書いたものとは全く違う結末・・・葛西にしてやられた。そう思いながら里見は込み上げてくる笑いを抑えるのに必死になりながら最後までスクリーンを見つめていた

映画が終わると人混みを押し分けながら売店に並ぶ小説をチラリと覗く
ポップに『映画とは違うまさかの結末』そう書かれていて里見は口元に笑みを浮かべたのを手で覆い隠す
どちらを先に見た人でもまた更に別の楽しみを与えよう。そう思って葛西がやったことだろう
それでも里見にチェックさせた映像も全く違うものにして手の込んだことをするやつだ。そう思いながらまた人混みを分けて外へと出た



携帯が鳴って本を閉じた里見は携帯を覗く。着信相手を確認すると鼻で笑って通話ボタンをタップした

「おう」
『光ちゃーん、電話したぁー?』
「映画見に行った」
『あはー!だと思った。ごめんなぁ。オレのあれはあれが完結系ー』
「詐欺だぞ。あれ」
『だってさぁ・・・』

ラストで根本から変わってしまう。最後に選ぶ恋人が映画と小説で異なるのだ

『あのシーン考えたらどーしても気持ち悪いんだもん』
「バカか・・・あれは別に」
『それでも!』

葛西の言葉に再びバカと呟いて天井を見上げる
葛西の言ってる『あのシーン』はきっかけになった教室で葛西を待つ須野が眠っている里見を優しく見つめていたあのシーン。それを目撃した葛西・・・小説の中では最終的に葛西の位置にいた人物がヒロインとくっついているのだから葛西としては気持ちが悪いと言ったことも理解はできる

『あー、うん。でも・・・ごめん。光の話勝手に変えたのはオレ』
「別に怒ってるわけじゃねぇし」
『うん。でも、オレが悪いことしたって思ったから』
「・・・悪くなかった」
『ホント?』
「ん・・・白と緑とオレンジが」

電話の向こうで喜ぶ笑い声がする

『今回そこに拘ったからね!』
「あぁ・・・」
『光ぃ・・・』
「んー?」
『やっぱドラマも一緒に作ろーっ』
「お断りだ。バーカ」

そして2人で笑った








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ホントは今回の里見のお話も獣の時みたいに書きたい。でもそんな時間ないって言うね・・・すごい細かい所まで密かに設定あんのに(いつも無駄なところに力を入れる水尾)
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