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青春はプールの中で10-18 - 05/04 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
柿内がバイトがあるというから2人でゆっくり寝坊し、ゆっくり食事をする。それだけで2人には特別な気がして今までこんな過ごし方したことがなくて顔を見合わせると同時に吹き出す

「んで?こっから何しましょうか?」
「映画・・・借りてきた」
「映画ー?水球の試合ビデオじゃなくて?」
「じゃなくて!」

柚木はDVDをセットすると柿内にもたれ掛かるように座り、画面を見つめる。確か、昔の彼女はこうやって映画館で肘掛があるのにこうやってもたれ掛かってきて腕を回してきた・・・それを思い出しながらやろうとして自分が昔の彼女と同じようなことを何故柿内にしなくてはいけないのかと気付いてソファの背もたれに腕を掛ける
そして画面が急に停止し、切り替えられて「あ」と声を漏らすとくくくっと隣から笑い声がして柿内を睨むように見るが、すぐにレコーダーに保存されていた水球の試合が流れ始める

「おい」
「バーカ。気を遣うなっつーの」
「映画見るっつーの!」
「ふーん?」

リモコンを奪い返そうとするのに柿内が上に手を伸ばして届かない

「柿内っ!返せっ!」
「で、なんの映画だったー?」
「・・・なんか・・・判んねぇけどっ」
「んな判んねぇ映画あんた見たいわけじゃねぇんだろー?」
「見るために借りてきたんだっつーのっ!」

ジャンプしてリモコンを取り戻すと画面を映画に戻す

「っつか、無理しなくていいし」
「まぁ、オレも判ってはいるんだけど、たまにはイイだろ」
「いつも通りのあんたにしろよ。普段のあんたじゃダメとか言ってねぇし」
「いや!試合見たら泳ぎに行きたくなんじゃん」
「・・・まぁ、うん。行けばいいんじゃね?それがあんただろ」
「あ、逃げようとしてんだろ?なぁー!柿内ー?心の準備できてないんだろー?」
「バッ・・・」

ニヤニヤとわざとらしく笑った柚木が柿内の腕をつつくとすぐにその手を掴まれる

「お?」
「・・・あんたなら・・・流にならオレがお前にやれる全部やる」
「・・・っ・・・柿内ぃー!どーしたぁ?急に男前ーっ」

あまりにも真剣な柿内の目に、声に急に恥ずかしくなってそれを茶化す

「ふざけてねぇよ?」
「柿内・・・」
「・・・付き合ってから結構経つけど、あんた今までそこには触れずに来ただろ。受け入れる側になったのも最初から決めてたっぽいし。オレはビビったっつーのにあんたは最初からオレを受け入れてくれて、だから、それはまぁ、最初からずっと考えてた。でも、オレからは勇気もねぇし、このままあんたが受け入れてくれりゃいいってズルいこと思ってた」

握られた手がいつの間にか両手とも握られていて柿内の言葉から逃げられない。真っ直ぐな柿内の気持ちから逃げられない
さっきみたいにリモコンの奪い合いだとかくだらないことで言い合ったり・・・その方が楽しい。この柿内は真剣すぎて心臓が痛い・・・息苦しい・・・体温が上がる気がする

「だから、今回あんたに言われてある意味対等になるチャンスだとも思った」
「オレはっ!・・・別にそんなんで対等とかそういうこと思ったことない・・・し」
「判ってる。でも、気持ち的な問題?・・・まぁ、オレは年下だしそれは変えられねぇ事実であんたみたいな人と対等になるには程遠いかもしれねぇけど・・・だから、心の準備、できてっから。そんぐらい、別にできてっから・・・今日は夜バイトで無理でもまだ明日からあるし・・・」

柚木だって柿内が心の準備をしなくたって柚木の申し出を受け入れてくれることくらい判っていた。ずっと近くで見て来たから。柿内のことを誰よりも近くで見て来たと思うから

「バカ・・・今なら逃がしてやったかもしれねぇのに」
「逃げるつもりなんて最初からねぇし、そもそもあんたからはオレ、逃げられるわけねぇだろ」
「・・・」
「ずっとオレが追いかけてんのに・・・さ」

そう。ずっと追いかけている。柿内が、柚木を。憧れて追いかけて追いつけなくて引き離されてそれでも追いかけて・・・周りにはもうそう見えないかもしれない。でも、柿内は追いかけても追いかけても追いつけない1つ年上の柚木をずっとずっと追いかけ続けているから

「・・・じゃあ・・・さ」
「んー?」
「少し前の試合・・・こないだDVD焼いてもらったから・・・それ見る」
「おう」
「あぁ、そうだ。お前いつもオレが試合見てる時メシ作ってたりパソコンしてたり他事ばっかりしてっからちゃんと一緒に見たことないよな!」
「・・・そういえばそうか」
「よーしっ!さーてこの柚木先輩のカッコよすぎる試合を見てもらいましょうかぁ?」

柿内は口元に笑みを浮かべてさっきよりも楽しそうに笑う柚木に安心し、ソファに体重を任せると柚木の肩に腕を回す

「あー?」
「・・・さっきみたいにもたれろよ」
「腕も回してやろうか?」
「・・・」
「あ、回してほしいのか」
「うっせ!このクソ暑い時期にベタベ・・・タ・・・」

柿内の体に体重を掛けた柚木が柿内の手を抱えるようにするとこの状況に照れて口を閉ざす

「ほれ。映画の方が良かっただろー?」
「・・・明日は映画・・・に・・・します?」
「ふはっ!柿内が素直ーっ!あ!ここからっ!速いからよく見てろよー?こっからパス受けんじゃん?ほらっ!」

試合なんて頭にほとんど入ってこない。そもそも水球のルールなんて柚木とは違ってほとんど知らない・・・でも、たまに映る柚木があの日のようにキラキラとした目でプールの中にいることだけははっきり判る。体が小さいことなんて細いことなんて関係なく、前しか見ていない柚木に驚いたあの日のように・・・










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柿内を男前にする計画

GWを乗り越えればまた少しだけ時間が・・・そして6月の中旬になれば時間が・・・それを乗り越えるのが至難の業である
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