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透き通るブルー16 - 06/04 Sun

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
「陸斗!」

高尾の名前を呼ぶ長身の男が手を振って高尾に駆け寄ってきて高尾が笑顔で「兄ちゃん」と答えたから彼が高尾の兄なのだと思いながら巴は頭を軽く下げた

「ごめんね?ありがとう」

巴の肩から高尾の体を引き受けた兄は巴に礼を言いながら笑顔で「送って行くよ」と言う

「兄ちゃん、ありがとー!」
「ん。バカな弟を持つと兄ちゃんは大変だー」
「兄ちゃん、兄ちゃんー、こいつ巴!巴 宏海ー!オレの親友で部活も一緒ー!」
「・・・巴くん、こんな手の掛かる弟だけどよろしくねー。あー!嘘でも出来が悪いとか言えないブラコンなオレっ!」
「兄ちゃんアホだろ」

振り返った高尾が笑ってそう言うのを聞いて胸が痛む。さっきまでの甘い痛みじゃなくて鋭い痛み・・・自分にはロクでもない兄しかいないから・・・嫉妬に似た感情

「お前、ちゃんと部活出るようになったんだなぁ・・・」
「そう。巴のせいっつーか巴のお陰っつーか」
「そうか・・・巴くん!キミ!すごいよ!こいつを変えちゃうとはなぁー・・・あー、妬けるー!兄ちゃん陸斗の親友に嫉妬しちゃうーーー」
「フハッ!ホント兄ちゃん頭おかしいっしょ」

明るい高尾の性格は家柄なんだろう・・・そう思いながら巴は小さく微笑んで車に乗り込むと頭を下げた









テストも無事に終わると結果はどうであれ、言いようのない解放感と共にまた泳げるという喜びを感じる。高尾の足も軽い捻挫という診断で、テストが終わる頃にはすっかり治ったようだった

「巴ー!とっもっえっ!メシどこで食うー?」
「あれ?高尾、お前部活やってんの?」
「ん?あぁ、水泳部」
「はぁ?お前がー?バカー。サッカー部来いっつったじゃんかー」
「悪い悪いー!でもさー、オレ、昔からずっと水泳部入ってたよ?」
「マジかよー。あ、でも水泳っつーことは夏だけじゃん?そっち終わったらこっち入れよー。お前、サッカー好きだろ?」

高尾は「考えとくー!」と笑顔でクラスメイトに答えるとすぐに巴の後ろを追いかける
高尾とは水泳以外の接点はないのだからいくら今仲良くしていても水泳シーズンが終われば高尾の運動神経から掛け持ちで部活に入ってほしいと思う人間も友人もたくさんいる。夏だけ・・・夏の間だけしか高尾とこうして昼ご飯を食べることもなく、休み時間もまた静かな時間を過ごすだけだろう

「どしたー?」
「いや、別に」
「あー!お前まーた隠し事してる!」
「・・・高尾は友達が多いよな・・・って思っただけ」
「んー?うんー・・・?っていうかそれ、こないだも言わなかったっけ?オレ、広く浅くだから友達は多いけどもっともっと知りたいって思うやつはお前だって」
「・・・あぁ・・・うん」

真っすぐで正直な高尾の言葉に恥ずかしくなって目を逸らす
巴ももっと正直に言いたい。高尾ともっと仲良くなって、夏以外も一緒に昼ご飯を食べたり、部活が休みの日は遊んだりもしたい。そう伝えたい・・・でもなかなかできない

「あー!やまべーも発見ーっ!」
「高尾ー・・・巴といるといつも以上に目立つね?お前」
「んー?巴でかいから目印になるよなー!」
「いや、まぁ高尾がいるところはうるさいから目印とか要らないけど」
「ひっでぇなー!」

山辺を廊下で見つけて走り寄った高尾はすぐに山辺の肩に腕を回す。チリチリと胸が痛む・・・高尾は誰にでもスキンシップが多いし、ボディタッチも多いけれど、これは友達を独り占めしたいという嫉妬なのかと子ども染みた独占欲に苦笑する

「あー!もー!高尾!競争とか意味わかんないし廊下走ったら危ないってば!」

山辺が叫び、階段を上がっていく高尾の背中を見てきっと屋上まで競争だと言ったのだと察する

「巴も行こう?」

トンと背中を山辺に触られて、腕を掴まれた巴はゾワリと背中を這い上がる他人の体温に思わず山辺の手を振り払う

「・・・え?」
「・・・あ・・・悪い」
「や、ううん。行こう?放っておくとあいつ、めんどくさいから」
「あぁ・・・」

山辺は高尾を追って走り出したが、反射的に振り払った手を見て巴はその場から動くことができなかった。山辺も同じ部活で、他の部員とは違って最初から人と距離を置く巴に話し掛け、気に掛けてくれて友人だと思っていたのに、山辺に触られた場所は不快だった・・・高尾とは最初から近い距離で平気だったのに。自分から近付くことも触れることもできるのに・・・友人・・・?親友・・・?友達なんて今までまともにいなかった巴にとってこの違いも判らず、どうして高尾だけ平気なのかも判らなかった








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水尾が書く兄弟は基本ブラコン
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