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透き通るブルー25 - 06/29 Thu

trackback (-) | comment (0) | 透き通るブルー
その翌日も翌日も、学校にいる時間のどこかで巴と榎本が一緒にいる姿を見かけてもやもやは消えないまま大会の前日・・・

「じゃあ、いよいよ明日が本番。そういう訳で今日は練習自体は控えめにリレーメンバーは引継ぎ練習とスタート練習メインにしよう」

副部長の野原の言葉に各自、スタート練習を始めるが、巴は野原の元へ行く

「どうした?」
「ちょっと・・・泳ぎたいんで、1コース欲しいな・・・と」
「お・・・おう・・・そうか・・・じゃあ、泳ぎたいヤツ用に1コース作るか」
「っす」
「あー、でも今、埋めちゃったところだからもうしばらくしてからでもイイか?」
「あぁ、はい」

巴が頭を下げるとスタート練習のために列を作っている後ろへと並ぶ

「・・・副部長さんに何言ってたの?」
「あぁ、別に」
「別にってことないだろ」
「ただ泳ぎたいからコース欲しいって言いに行っただけ」
「やっぱり別にじゃないじゃん!」
「はぁ?」

妙に突っかかって来るような物言いに巴は眉を顰める
高尾への感情が消えなくて、それどころか毎日ずっと一緒にいて募る想い。苦しくて苦しくて仕方ないのにそれを判ってもらえるわけもなくて、想い自体を否定するのだから判ってもらえるはずもなくて泳ぎに集中できず、大会前日になってしまってなんとか調整したいのにプールも自分の自由に使えない苛立ちも加わって睨むように高尾を見下ろす巴

「大体なんだよ!お前、最近付き合い悪いしさっちゃんとは仲イイしっ!」
「・・・それ、お前に関係ないだろ」
「なんだ・・・よ・・・それっ!」

高尾が巴を睨み返し、巴の肩をドンと跳ね除けると列からはみ出た2人は急に注目を浴びる

「オレに彼女作ってほしいんじゃないのか?あぁ、相手がお前の好きな奴だったから怒ってんのか?あ?」
「ふざけんな!んなこと一言も言ってないっ!」

取っ組み合いになる前に事態に気付いた盛谷と野原に体を掴まれて2人が離され部室へと連行される

「お前ら何考えてんだよ!普段仲良しなのに何突然ケンカしてんだ?!」
「明日、大会だぞ?」
「・・・オレは悪くないっすー」
「どっちも悪い」
「え!悪いの巴だしっ!」
「高尾も巴もしばらくここで反省してろ」
「・・・」
「で、またケンカしだしたら明日来なくてイイから」
「は?!」

野原の言葉に顔を青くする高尾。待ちに待った大会。出られなくなるなんて中学までのことを思い出して唇を噛む。自分は悪くない。そう思うけれど巴の澄ました横顔を見ると俯いて拳を握る

「頭冷やせ・・・で、練習戻って来い」

2人が部室を出て行くと濡れた髪をくしゃりと握る高尾
巴が判らない。彼女を作ってほしいだなんて言った覚えはない。そんなつもりもなかった・・・

「・・・巴・・・さっきの何・・・意味わかんないんだけど」
「何のコトだ」
「彼女・・・作ってほしいとか・・・オレ、言ってないし」
「・・・そうか?佐々木に勉強教えてもらえだとか昼飯に女の子呼んだりだとか?オレが好きなのが気持ち悪いのは判るけどさ・・・女作ればイイとか笑顔で残酷なことしてくるよな」
「っ?!・・・待って・・・え・・・待って!違うしっ!」
「何が?」

佐々木は休み時間、本当に律義に勉強を教えてくれるイイ子だったけれどそれ以上のことは何も感じなかった。昼休み、最近高尾の所へやって来る女の子たちの名前はぼんやりとしか覚えられなかったし、ただ一緒にいる高尾が女の子たちに向ける笑顔に胸が痛かっただけだった

「佐々木ちゃんのことは・・・なんていうか悪かった・・・確かにお前、利用したけど・・・違うし・・・」

『利用』その言葉にやっぱり自分を好きな同性がいるというのが気持ち悪かったのだと自嘲する

「巴の隣の席さ・・・山田じゃん・・・」
「・・・?」
「佐々木ちゃん、山田と中学ん時から付き合ってんだけど・・・山田が最近、別れたがってるっつーか・・・佐々木ちゃんのコトどうでもイイみたいに言うからだったらイケメンのお前と仲よくされたら復活するかなーっていうか・・・巴と佐々木ちゃんくっつけようとか全然考えてなかった・・・っていうか・・・」
「は・・・?」
「だからっ!山田にヤキモチ妬かせたかった!だって佐々木ちゃんイイ子だしっ!正直山田には勿体ないって思うくらいイイ子だしっ!でも、付き合い長くてそれ判んなくなってきてんのかな・・・っていうか」

高尾の言葉にただ目を丸くする巴

「ぁ・・・んなのっ・・・お前が佐々木と仲良くすれば」
「あー、ムリムリ。オレ、佐々木ちゃんの嫌いなタイプらしいから!まぁ、普通には話してくれるけど・・・それに山田、妙に自信持ってるからオレ以上にイケメンぶつけないと!」
「・・・」
「それで・・・そこはなんていうか上手く行って山田が巴の前で笑ったりしてる佐々木ちゃん見て慌てて佐々木ちゃんに尽くすようになったんだけど・・・さぁ・・・悪かった・・・」
「・・・じゃあ・・・昼休みは・・・」

佐々木のことは違うとしても昼休み来ていた女の子たちはまた別の話

「あー・・・あれは巴のファンっつーか・・・オレと一緒にメシ食えば巴と話せるとか思ってる子たちで・・・」
「はぁ?」
「いや!でもあれだよ?別に巴と仲良くなって欲しいとか巴に彼女作ってほしいとか思ってないよ。もし作るならもっともっとイイ彼女・・・まぁ・・・その点、さっちゃんはなんていうか・・・合格なんだけどさぁ・・・」

高尾は別に自分に彼女を作ってほしいわけじゃなかった・・・巴の勝手な思い込み・・・どんどん胸のつかえて解けていく感覚

「確かにさっちゃんは・・・可愛いし、イイ子だし、頭も悪くないし・・・でも、でも・・・勝手だけど嫌だよ。嫌だって思った」
「え?」
「巴言ったじゃん・・・オレを独占したいって・・・で、それ、オレも一緒だって言ったじゃん・・・」

独占欲・・・告白したあの日、自分の想いを初めて言葉にした日、高尾にその言葉で全部片付けられた。高尾も同じように独占欲があると言われた・・・

「それ、女の子にも思うっぽい・・・巴がオレ以外の友達作らなきゃいいのに。オレ以外に笑わなきゃ、オレにだけ頼ればいいのに。でも、その反対に巴がすげぇって、イイ奴だってみんなに知ってほしくて。矛盾だらけなんだけどさ・・・それで、彼女できたら喜ぼうって思った。でも、彼女できたら彼女優先にする日とかあるんだって思ったら絶対嫌だって・・・だから、だから・・・」

独占欲・・・その言葉で本当に片付けてしまってもいいのだろうか・・・友達もほとんどいなかった巴にとってはこれが正しいのか判らない。でも、高尾も自分と同じような気持ちなら、これは友情だけだとは言えないのではないか・・・そう思ってしまう







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この2人、書き辛い・・・ホントキツかった
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