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青春はプールの中で11-10 - 01/25 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
柚木と柿内はお互いに触れ、お互いの気持ちを再認識した後、柚木が柿内の前で弱音ばかり吐き出すことは少なくなった。相変わらず泳ぐことは辞めた。これから治ってももう戻らない。そこだけは頑なだったが、それでも前を向いた柚木に柿内は安心していた

変わらない毎日。柿内が大学から戻ると夕食を準備し、柚木もできることを手伝う。そんな毎日

「かっきうちー!今日の夕飯何ー?!今日リハビリ頑張ったから腹減りまくってる!」

元々身体能力が高かった柚木は前向きにリハビリを始めると自由に動く片足と片手で大抵のことを今までのようにできるようになり、こうして柿内の体に抱きつくことも簡単にできるようになっていた
抱きついてくる柚木に柿内は満更でもない表情だった

その日、柿内が夕食の準備を始めるとインターホンが鳴り響く

「あ、オレ出る」
「ん」

杖を手にした柚木が玄関へ向かい、ドアを開くとすぐにケーキの箱を目の前に差し出された

「え、あ、沙耶ちゃん?!」
「遅くなりましたがっ!退院おめでとうございますっ!」
「あ、ありがと・・・」
「柿内、います?」
「あー、うん。入って」

沙耶を中に入れるとそのままキッチンに向かった沙耶が柿内の胸ぐらを掴む

「なんだよ!危ねぇ!」
「はぁ?!こうされる理由くらい予測してたでしょ!」
「判んねぇし」
「なんだよ!内定蹴ってゼミ辞めるだけじゃなくて教授裏切ってあんなやつのゼミ入るって!研究内容そっちで書き上げるとかなんだよ!」

内定を蹴った・・・?ゼミを辞めた・・・?その言葉に柚木が目を見開く

「沙耶、ここでは止めろ」
「・・・」

沙耶がハッとした表情で柚木を振り返ると驚いた顔の柚木に柿内のシャツを離す
柚木も知っていると思っていたのに知らなかったのだとバツの悪い表情で目を伏せた

「・・・ちょっと出れる?」
「ん、柚木さん、ちょっとメシ遅くなるわ。腹減ったらそのケーキでも食ってて」
「あー・・・あぁ」

柿内と沙耶が部屋を出て行くと1人になった部屋で考える

ゼミを辞めた

柿内が頑張っていたのは知っている。すれ違いでケンカもたくさんしたけれどそれでも必死にやっていたのを知っている
そういえば入院中も退院してからもずっとそばに居てくれたし、帰りもいつだって早かった。おかしかった。考えてみればおかしすぎた

柚木は杖を掴むと柿内と沙耶の後を追った









「ゼミを辞めたのは柚木さんのそばにいたいから・・・判ってるけど頑張ってたじゃん。あんた」
「頑張ってた理由もあの人だからな」
「何それ」
「オレが内定もらえたとこ・・・あそこ、国内じゃ数少ない水球チームあるとこって知ってたか?」

沙耶は首を振り、柿内が今までどんな無理難題を課されても睡眠時間も柚木との時間も犠牲にしてやり遂げてきた理由を知る

「内定貰えて、あの日、プロポーズじゃねぇけど、あっち、一緒に行こうって言うつもりだった。けど、あの日、あの人があんなことになって、でも、またあの人のことだから復活してすげぇ奇跡見せてくれると思ったからゼミに顔出す時間減らしたけどなんとかやってたんだけどな・・・もう戻る気がないって判ってきて、これじゃオレもあのゼミでやりれる気がしねぇし、就職だって・・・な」
「でも、だからって」
「ゼミの単位はでけぇから。ゼロになると授業詰めなきゃって考えてる時に打診された。去年の研究論文手直しすりゃいいって言われたら単位も助かるし受けるだろ。そりゃ、教授には申し訳ねぇ気持ちもあったけど」

今までの柿内よりもどこか寂しそうで諦めたような表情で沙耶はそれ以上強い口調で言えなくなる

全て柚木のためだった。大学も柚木を追うように来たのは知っていたけれど、大学へ来たのも、教授のゼミに入ったのも、そこで頑張っていたのも全て柚木とのその先を考えてのことだったなんて初めて知ったこと。改めて柿内の柚木に対する想いを知る

「あの人には言うなよ?」
「・・・うん」
「ゼミ辞めたのはバレたし今から話すけど、他のことは黙ってろ。あの人、気にする人だから」
「・・・いいの?」
「いいってお前、そんなの当たり前」
「違う!」
「あ?」
「柿内はっ!柿内はそれでいいの?!」

沙耶の言葉に小さく笑う

それでいいのか。そう聞かれると判らない。今までたまたまうまくやれて来た。大きなケンカもなかったわけじゃない。それこそ覚悟した時もある。でも乗り越えて来た。でも、これからは判らない。柚木が柿内の恋人じゃなくなる日も来るかもしれない

「オレは、あの人と関係が変わってもあの人に嫌われねぇ限り隣にいるつもりだしな。んで、あの人が結婚して子ども産まれたらそいつめちゃくちゃ甘やかす予定。あの人に甘やかしすぎって怒られても甘やかす」
「・・・それで幸せ?」
「ん・・・だな」
「強いね。柿内」

柿内は鼻で笑って空を見上げると「バカか」と呟く

「弱ぇからあの人のそばから離れられねぇんだろ」

柚木がいれば強くなれる。柚木の存在が柿内を強くしてくれるから






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柿内の進学の理由、当時書くのを避けていたのはこういうことでしたっていうね・・・伏線って言う伏線じゃないけれど色々と回収していきながらじわじわと最後なんだ・・・と湧き上がってきてあぁ!もっと柿内に代わる思い入れのあるキャラクター作らないと!!!って続き書かなくちゃなのにそればっかり頭を支配していくっていう・・・w
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