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青春はプールの中で11-12 - 01/27 Sat

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
「流ちゃん・・・?」
「あ・・・」
「あ、ごめっ!声かけたのは初めてだっ!!!初めまして!あたしっ」
「あぁ、喋りかけてきたのは初めてだなアヤ」

目の前に現れたのはよく見る顔。知ってる女性
兄の大ファンでスイマー喰いのアヤと呼ばれていた女性

「そっか。うん。だよね。知ってるよねー自己紹介は要らないかなー」

眉を下げて笑ったアヤは「ここいい?」と柚木の向かいの席を指す

「いいよ。空いてる」

礼をひとつ言ったアヤは柚木の向かいに座ると灰皿を指した

「吸うの?」
「あぁ、でも女の子の前じゃ止めとく」
「アハハ。ホント噂通りの紳士ー!いいよ!気にしない」

そもそもここは喫煙席だったし、周りにも吸う人間がいたから気にもしないが、柚木は首を振った

「ごめんね。たまたま見かけてつい声かけちゃって」

柚木が事故に遭った事は聞いていた。お見舞いに行こうかと悩んだけれど球の追っかけをしているだけの自分が突然お見舞いに行っても迷惑だと断念していた。そんな時、偶々見かけたからつい追いかけて店に入って声を掛けてしまった

「流ちゃん大変だったんだってね・・・や、今もまだ大変だよね」
「あぁ、ありがとう。でもなんとかやってるしほら、こうやってひとりで店入ってカフェオレも飲めるくらいだし」
「うん。退院おめでとう」

初めて話す2人。お互いに存在は知っている相手
柚木のことは球や竹市、そして柿内からよく聞いていたし、アヤのことは兄や竹市、そして競泳部から噂も全て聞いていた

「あ、別に流ちゃんとって食おうとかそういうんじゃないよ?!そういうのもうしてないから!前に柿内に言われてからずっとやめてるから」

柿内の名前が出て澤口の顔を見る
そういえば柿内とは友人だったと、一時は仲を疑ったと思い出して小さく笑う

「あいつ曲がった事嫌うからなー」
「んー?流ちゃんもでしょ?柿内は流ちゃんの影響みたいなことも言ってたよ?」
「オレー?」

柚木は少し考えて首を振った
柚木の場合、正義感はあるけれど偽善だと思っていた。皆に憧れ、好かれるための正義感
でも、それは丸く収めるためには見て見ぬ振りもする正義感

「球ちゃんのこと、ホントにホントに好きなんだけど、そろそろ諦めて前向かなきゃなーって最近すごく思うんだけどねー・・・球ちゃんが私を嫌ったり拒絶してくれたら諦め簡単なのに球ちゃん優しいでしょー?だから私が好きでいるの自由だよ。みたいなーあー、ホント好き!」

嫌ったり拒絶してもらえたら諦めがつく・・・?でも、尽くしてくれる柿内を嫌ったり拒絶するだなんて柚木にはもう難しいことで

「流ちゃん?」
「あ、ごめん。アヤの言葉、今すごい考えちゃって」
「何?流ちゃんも恋に悩んでる感じ?」
「恋・・・か」

恋だなんて甘いものか判らないけれど、柿内との関係がこのままでいいとも思えなくなっているのは事実
柿内が自分を嫌ってくれれば。そう思うのに柿内が嫌うことなんてないんじゃないかとも思う自信

「流ちゃんの彼女ってどんな人ー?」
「え?」

柿内との関係は聞いていないのだと気付いて小さく微笑むと「すごく尽くしてくれる」と答える

「あー、だよねー!流ちゃんいいオトコだもんー」
「そうかな・・・ズルい人間だけど」
「いやいやー!でも人間だもん。ズルくていいよ」
「・・・尽くしてくれるのが嬉しいのにそれじゃあいつの人生潰してる。だけどさ、好きなんだよな」
「なんか流ちゃん!今、私それ聞いて泣きそうなんだけどっ!」
「え!なんで?!ごめん。おかしいこと言った?」
「言ってないー!でもなんか流ちゃんの彼女さん羨ましくて」
「・・・オレに引っかかって可哀想なヤツだとオレは思うけど」
「そうかなぁー?それだけ尽くせる相手に出逢うって幸せだよー?私も球ちゃんに尽くしたい!・・・流ちゃんはさ!みんなに影響与える人なんだよ。球ちゃんもだけど流ちゃんのことすごい褒めるし尊敬してるし柿内だって流ちゃんに尽くしたいって言うじゃんー?」

柚木は微笑む

柿内は恋人ということは言わなくても柚木に尽くしたいという話はしていたのだと

「尽くされてるのは嬉しいよ。でも、そんな自分が許せない」
「・・・別れたいの?尽くしてくれる彼女と」
「離れなきゃいけないとは思うけど・・・別れられないな。オレからは」
「・・・まぁ、まだ若いもんね。今から人の人生も背負うってなると重いしー」
「・・・」

柚木にとって重さは関係なかった。柿内の人生を丸っと背負って生きていくのはできないわけじゃない。でも柿内も自分と同じ男で働く意欲もある。だからこそ柿内にも柿内の人生を自分で選んで歩いて欲しくて

「今の好きな相手の存在が大きければ大きいほど次に恋なんてできないってなるよねー」
「・・・だな」
「そこら辺流ちゃんと一緒ー!球ちゃん以外にも私好きになれる人いるのかなー」
「球、そんなイイか?」
「え!兄弟なのに球ちゃんの魅力判んない?!え!なんで!」
「いや、球、弟や妹より手がかかるしめんどくさいしかなかったけど」

澤口は「えー」と言いながらも「兄弟だからこそそんな感じかー」と頷いた

「好きなのに嫌われたい・・・好きだから手放したい。矛盾しまくりのこの感情、どこで折り合いつけるのがいいんだろうな」

柚木はそう言って遠くを見つめた






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お久しぶりのアヤちゃん。まぁ、あれだけの出番じゃ終わらせないですよ
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