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青春はプールの中で12-34 - 03/17 Sat

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
「・・・」

仕事終わり、携帯を見ると久し振りの友人からの連絡に胸を躍らせたのは秘密

『エリちゃーーーーんっ!飲み行こぉぉぉぉーーー』

変わらない彼に小さく微笑むとすぐに返信するのは彼からの連絡をどこかで待っていたから

社会人になって変わったのは友人関係。もともと周りにいた友達は友達の友達という面が強くて惰性で付き合っていたところがあった。本当に仲のいい友人はいないのだと卒業して週末連絡もない携帯を見つめ暇を持て余していた時に気付く

彼の周りはいつだって友達がいっぱいで一時期でもそんな彼と付き合っていたからその周りの友人にも巻き込まれた

「早・・・」
『いつ行くー?いつ暇ー?!オレ今週末暇なのー!』

早い返信も相変わらずだと思いながらこの連絡が社交辞令じゃないことを嬉しく思った

『私も今週末暇だよ』
『やったね!場所はーオレが決めてもいいー?それともどっかいい場所あるー?』
『栗山くんが決めていいよ』

そう返して携帯を鞄にしまう

久し振りにできた予定に明日からまた頑張れそうだと職場を後にした







「えーりちゃんっ!ひっさしぶりー!」
「・・・相変わらずなんか軽い」
「えー!酷いー!エリちゃんはスーツがまた・・・可愛いーーーー!!!」

地味なスーツなのにどこを見て可愛いと言っているのか判らないところも変わらない

「じゃあお店行こっかー」
「うん」

エスコートが手慣れているのも相変わらず。似合うスーツも予想通り。笑顔の栗山と並んで歩くと不釣り合いな少し自分が惨めになって、そしてどこか優越感も感じるのも変わらない

「ね、お仕事どーう?」
「んー?研修が終わってやっと色々仕事!って感じかなー」
「あー判るー!でも楽しい」
「へぇ。楽しいんだ?」
「うん!」

色々と充実しているのだろう。と判る笑顔。あぁ、惚気話を聞かせたいのかと酒井は察して微笑んだ

「エリちゃん何飲むー?」
「うーん・・・栗山くんは?」
「イタリアンだからワイン」
「なんかそれ言いたくて聞いたでしょ」

甘いカクテルを好んでいた栗山が選んだアルコールに酒井は微笑んで「じゃあ私も付き合う」とメニューを置いた

「あ、でも飲みすぎないでよ?」
「うん。大丈夫!判ってるー」

微笑んだ栗山の表情がどこか寂しそうでいつも週末は柿内の部屋に行っていたのを思い出してあぁ、今日は居ないから呼ばれたのかと考えた

「どうしたの?」
「ん?」
「今日」

ワインも2杯目を注文した頃、酒井がそう尋ねる

「エリちゃんと久々に話したかった。仕事どうかなーとかボーナス出た?とかさー!オレはねー少し出たー!嬉しいね!ボーナス!」
「うん。でも、それ、私じゃなくてもいいことでしょう?だから、柿内さんのことじゃないの?」
「・・・アハハ・・・なんかオレ最低じゃんそれ」

相談内容によって、話したい事によって会う友人を変える。恋人のことを相談したくて元カノを呼び出した・・・その事実を本人に突き付けられて溜め息を吐き出す

「柿内くん最近残業多くってさー」
「うん・・・?残業ないって言ってなかった?」
「そう!そうなんだよねー!全然なかったの!でも今年から配置換え?とかで上司が変わったらしくってー・・・なんか急にここ最近残業ばっかりで」

惚気話じゃなくて愚痴だったかと思いつつ料理を口に運びワインを飲む

「でもさ!でもー!仕事だし仕方ないじゃん?それに大変そうなのに充実してるみたいな・・・マゾかな。あの人。ドSっぽいくせにMなのかなやっぱり」
「さぁ?私にはー」
「・・・でも、最近すごく疲れてるっていうか・・・」
「上司と折り合い悪いとか?」
「それはどうかなぁ・・・聞いても教えてくれないからさぁー・・・でも折り合い悪くて楽しいとかただの変態じゃん!で、まぁ、そんな感じでオレは最近週末超暇なの」
「超暇なのか」

自分の方がずっと暇だという言葉は飲み込む。栗山とは違って恋人も友達もいない。ずっとずっと寂しくて暇。でもそっと微笑む。栗山が幸せそうだから。寂しいと言っているけれどそれでも幸せそうだから

「でも・・・上手くいってるんだね」
「うん・・・だね」
「もう1年?・・・そろそろなったよね?」
「うんうん。そう・・・あ、エリちゃん、それでね!疲れてる時に効くなんかアイテム知らないー?」
「アイテム・・・マッサージ器とかそういう系の?それともサプリメント?」
「んー・・・なんでも!」
「なんでもと言われても・・・私は疲れてる時温泉行くかなー」
「温泉っ!!!確かにそりゃなんかいいけどさー・・・行くとなると柿内くんに車出させることになるしー」
「あ、温泉って言っても銭湯に毛が生えたみたいな地元のね?ほら、あるじゃん。この近くにも」

栗山は「あぁ」と頷いて「温泉」という文字の看板が近くにあったのを思い出す

「まぁ、気軽に行けるし気分転換にもなるし」
「あー、いいねーいいかもー」
「うん」
「ありがとー!参考にするー」
「うん。栗山くんは営業向いてたんでしょー?」
「アハハーかもねぇ。事務職よりも向いてたかもねぇ」
「栗山くんが事務とか無理があったよー」

酒井に笑われて柿内に営業が向いているだろうと言われたのを思い出す。柿内に言われていなければ、柿内と付き合っていなければ今の自分はいない

「で、製品を愛しながら売り込み行ってる?」
「アハ!やばい!エリちゃん記憶力ハンパないー」

まさかの時期に内定を貰えた栗山に酒井は「忘れられないよ」と呟く

面接で何を言ったのか聞いた時、「御社の製品を愛します。その製品を心から愛している人と仕事だから売るって人、どっちが売って欲しい人ですか?」と尋ねた栗山はやっぱり軽いけれど勇気があって判りやすいと思った

「愛してるよー・・・研修でねー、工場行った時に製造の人にすっごい細かいところまで教えてもらってさぁ。オレのお気に入りの子たちは特に力入れてプレゼンしちゃうくらい」
「ホントに愛して売ってるんだ」
「うん。ホントに愛して売ってるの!だってね、開発の人とか製造の人とか一生懸命考えたひとつの作品だもん」

これは柿内から聞いたこと。柿内はイチから考えて作り上げた奴はやっぱり思い入れでかいしいいと思って作ってんだから可愛いに決まってる。そう言っていたから。皆が皆そうじゃないと思う。仕事だから作った。そんな人も多いと思う。でも、我が子のように作り上げる。そんな人間には栗山の熱意が嬉しくないはずがない

「開発の人にも呆れられたし、製造の人にも呆れられたけどねー、でもね、時間空いたら通って聞きまくってたから。それこそ分解してもらって教えてもらってたから今みんな仲良しになってる」
「栗山くんらしいね」
「アハハー!製造販売の会社でよかったかもー!オレ、やっぱりもってるね?もってるよね!」

いつも友達に囲まれていた栗山。人懐こい性格も笑顔も熱さも全部全部栗山らしいもの

「なんか私も頑張ろって気になってきた」
「うん?うん!まだ1年目!頑張ろー!」
「うん。頑張る」
「で、またたまに飲んだりして遊ぼう?」
「うん。遊んで。暇だから」

クスっと笑った酒井に大きく頷く栗山。気取った栗山よりも軽い栗山よりもずっとずっといい表情をするようになったと酒井は柿内を羨んだ。きっと柿内のおかげだから。素の自分を殺して偽物の笑顔を作る栗山よりも子どもっぽくても楽しそうに笑う栗山がずっと素敵だ。そう思うから






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相変わらずスマホで空き時間にちょこちょこと書き溜めている生活なのでホント長さが安定しないっていう

アンケ結果のSSどんな感じのにしようかなぁ・・・っていうのを考えながらニヤニヤするのが最近の楽しみです。えぇ。もう構想はできております。書いてないけれど頭の中では完成しているっていうか・・・ってまだアンケ期間内なのに結果はまだ決まってないのに大丈夫か?!っていうところー・・・いやいや、もうねぇ?もう・・・ねぇ???ニヤニヤニヤニヤ

アンケでコメントまで送ってくださる皆様、ありがとうございます。えぇ。愛は受け止めております。皆様の愛をひしひしと受け止めておりますともー!
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