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つれないキミと売れてる僕3-5 - 05/22 Fri

trackback (-) | comment (0) | つれないキミと売れてる僕
里見はその日、締め切りに追われていた。今までこんなやばい締め切りは経験していなかった。仕事しているときは仕事量をセーブしていたこともあったし、こんなにも焦らなかった・・・最近遊び過ぎていたことを反省しつつ文字を打つ

トントン

ドアがノックされるが、里見は無視する。構っている暇はないという意思表示。しかし、しばらくするとそーっと扉が開く

「ごめん。仕事中だよね・・・コーヒー淹れてきたから」
「・・・」

須野はコーヒーをわざわざ淹れて持ってくる。きっと口実なのだろう。コーヒーなんてもう既に淹れてあるのは須野も知っているはずなのだ

「邪魔しないから・・・ここで見ててもイイ?」
「・・・勝手にしろ」

須野はひとつ頷くとソファに座り本を開く。須野がいても邪魔にならない・・・今までだってずっと邪魔になったことなんてなかった。いつものようにページをめくる音もしない。いつものようにただそっと里見を見つめているのだ。
しかし、今日の視線は息が詰まる・・・
須野が見つめてくることが気になって仕方がない

「須野、やっぱり邪魔」
「・・・ん、判った」

須野が立ち上がってやっぱり微笑んで「邪魔してごめんね」と部屋を出ようとする

「須野」
「?」
「終わったら・・・行くから」
「うん」

見なくたって判る。須野はすごい笑顔でこちらを見ている。里見は見なくても判る笑顔が恥ずかしくて頭をかきむしった



須野は静かに待っていた。マネージャーの山口からちょっとは勉強しろと渡された英会話教材のCDをセットしてイヤホンを耳に入れる。
須野の学力に合わせて初歩の初歩である英会話教材はHelloから始まっていた


CDの1枚目を聞き終わり、2枚目に替えようとイヤホンを外すと隣の玄関の音が聞こえた。

「?」

里見がこの部屋に来るなら今、須野の目の前にある扉から入ってくればいいはずなのに・・・
直接由梨乃に原稿を渡しに行ったのか?と不審に思って玄関を少しだけ開けて外を覗く。見慣れた愛しい後ろ姿

「里見?」
「・・・おう」
「どこ・・・行くの?タバコならストックあるよ?」
「あー・・・悪い。ちょっと出てくる。すぐ戻るから。もーちょい待ってて」
「どこ・・・に?」
「吉田んとこ」

それを聞いて須野は思わず玄関から飛び出していた

「こ・・・こんな時間から?」
「?」
「え・・・っと・・・ごめん。部屋で5分でもいいから話できる?」
「おう」

須野は里見の手を引いて部屋に入ると吐き気がした。里見は自分との約束よりもあとから突然入った予定を優先しようとしている。吉田のところに行こうとしている・・・その事実を目の前に突きつけられて泣きたくなった



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須野を性的に苦しめるのは好きだけれど心を苦しませる回は楽しくない水尾です
でも嫉妬って大事。うん。大事
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