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青春はプールの中で12-48 - 04/03 Tue

trackback (-) | comment (1) | 青春はプールの中で
「・・・流ちゃん」
「さて。球さん。オレらは出発の準備あるし帰るよ」
「うん」
「イイなぁ!!!球さんも竹市さんもハネムーンイイなぁ!!!」

新井が口を尖らせたように羨ましがると微笑んだ球に「瑞樹ちゃんも結婚しちゃえ」と囁く
新井は振り返って但馬を見ると首を傾げた但馬に小さく笑う。竹市や球のように結婚し、海外へ移住してしまうだなんて自分たちには考えられないけれど、このままずっと事実婚のように但馬の両親のようになれたらイイと願っている

「まずはあのヒゲどうにかさせてから!だよね」
「アハ!ホント似合ってないー!」

新井は手を伸ばして但馬のヒゲを引っ張る

「痛っ!何?!そんなにこれ嫌い?似合ってない?!」
「うん。嫌いー!全然似合わないってば」
「・・・はい・・・」
「カッキーのことなんで黙ってたの!突然来たっていってもこっそり教えてくれてもいいじゃん!メールでこっそりとかさぁ」
「だって」
「まぁ、はーちゃんと上手くいってんだもんねぇ・・・カッキーも姿見せるつもりなかったっぽかったし難しいかー」
「!もしかしてそれ!」
「あー、うん。カッキーの今の恋人?」

竹市は困った顔で球を見る

「そりゃあカッキーだって彼女くらい作るよ・・・でも、流ちゃんに敵わない相手なんていない!流ちゃんが1番可愛くてカッコイイから!」
「いや、柿内の恋人、男っすよ」
「え!!!!」

但馬はそう言いながら苦笑する

「でもね、オレは葉月には悪いけど、あいつら運命だと思うんですよね」
「運命とかカズくんイイ歳して結構恥ずかしい」
「っぐ!!!瑞樹運命とか好きそうなのに!」
「そりゃ好きだけど!!!カズくんが言うのはまた違うみたいな」

但馬は運命だなんてガラにもないことを口走ったことを後悔しながらも2人が出ていったドアを見つめる

「あいつ、ホントにたまたま昨日、今日って日を選んでここへ来たし、柚木さんだって・・・普通判ります?!メシ食っただけであいつの作ったものだって!だからなんつーか」
「「「運命・・・だね!」」」
「もー!みんな茶化す!!!」

皆が口を揃えて2人の幸せをそっと祈る。長い年月会えなかった2人が今日、再び出逢った。それが以前と同じように戻る。というのは難しい。それは判るのに何故か信じてしまう。2人が以前のように並んで笑い合い、ケンカしながらも共に過ごしてくれることを






「・・・柿内」
「あぁ、悪い。手、痛かったか?」
「いや、大丈夫」

思わず手を引いて飛び出して来たはイイけれど、今は恋人でもない相手だと思い出して柿内は手を離す

「やっぱ、海辺はまだ寒いな」
「おまえ半袖だしな」
「カーディガンキッチンに置いて来た」
「ジャケットでいいなら貸す」
「や!あんたの小せぇっつかまた痩せただろ!ガリガリすぎだ!」

柚木は「羽織るくらいならできんだろ」とジャケットを柿内の肩に掛ける

「久々にメシ美味いって感じた」
「あー?」
「ハハ・・・オレさ、今めちゃくちゃ走り回ってんの!休みの日はフットサルだとか野球だとか!バレーもたまに呼ばれたり!まぁ、そんな感じにあちこちのチームから声掛けられてんの!さーすが柚木 流って感じだろ?」

そこにやっぱり水泳は入っていないのだという悲しさと、自由に動けるようになって運動もできるのだという喜びを感じる

「で?走り回りすぎてガリってんの?」
「・・・メシが美味く感じなくて・・・なぁー」
「は?」
「お前とさー、離れて・・・卒業近い時かな・・・オレ、倒れて入院したんだ」
「何だよ・・・それ・・・」
「摂食障害っつーやつ?栄養失調だとかさー!自業自得すぎるだろ!」

聞いていない。但馬や新井は同じ学校なのだし知っていたはずなのに何も聞かされていない。聞いていたら、知っていたら・・・どうにかしただろうか。変わっていただろうか・・・いや、あの時柚木に拒絶されたのだからやっぱり会いになんて行けなかったかもしれない

「あぁ、但馬と瑞樹にも内緒!実家に帰ってるっつった」
「・・・でも、大学卒業してもう」
「そ!ずいぶん経つけど、治ってメシも食えるけど美味いって感じられないし必要なエネルギーだけ摂ってるっつー感じ。走り回るのに必要な分だけ。メシが楽しいとか全然なかった。オレのメインの食事、パワーバー!寂しいだろ」

シャツに浮かぶ骨が痛々しい。あの時、無理にでも傍にいたら・・・

「彼女作ってさー、メシ作ってもらっても結局食えねぇの!お前のメシ偉大だよなー!」
「バカ」
「あぁ、バカだろー」

笑う柚木の腕を掴む

「どしたー?」
「あの・・・な」
「栗山のことー?」
「っ・・・」
「瑞樹に聞いてる。よかったよなー!栗山、ずっとお前のこと好きだったし、羨ましい」

羨ましい・・・柚木が栗山を羨ましい?

「お前のメシ食えてお前に優しくしてもらえるんだろー?羨ましいってー!」
「メシメインだな?」
「ハハ!バレた?」

柚木の笑顔は昔と同じ。明るく照らしてくれる太陽のようで眩しい笑顔

「葉月を大事にしてる」
「おう!だろうなー。お前が好きで内側に入れたやつ大事にするの知ってる」
「・・・だから、ホント、あんたと会うつもりなかった」
「だよな・・・悪かった・・・でもさ、どうしても謝りたくてさ」

パッと手を離されて柿内は拳を握る

幸せにする。栗山を大事にする。そう自分に誓ったはずなのに、痛々しいほど痩せた柚木の傍でご飯を作っていたい。そう思ってしまう

「オレ、お前に謝りたくてもう1度メシ食いたくて、話したくて・・・嬉しかった」
「・・・そうかよ」
「おう!」

これが最後のような口振り。せっかく会えたのに、最後のような・・・

いや、会わない方がいい。あの時別れを決めたのだ。栗山のためにももう会わない方が・・・

「栗山幸せにしてやれよ?」
「・・・」
「お前はできるさ」

ポンと叩かれた腕を掴む

栗山が大事。幸せにしたい。それは本音。でも・・・

「あんたっ・・・新井さんと今でもよくつるんでるなら、大学のそばで就職したのか?」
「そー!んで、まだあの部屋住んでる」
「は?!」
「だって立地条件完璧だしさー!卒業後も格安で貸してくれるって言うからさー」

懐かしい部屋。あの部屋に1人で・・・

「オレ、明日・・・そっちに用事あって・・・車で来てんだけど・・・クソっ!回りくどい言い方は苦手だっ!もっと話してぇ!あんたと!んで・・・メシ、作ってやりてぇんだよ!ガリガリのあんたに!」

目を丸くした柚木が「バーカ」と柿内の胸を殴る

「栗山がいるだろ」
「友達!」
「何?」
「オレっ!あんたとっ!やっぱり友達でいてぇ!」

友達・・・友達にこんな感情は持ってはいけない。けれど、柿内を、せっかく会えた柿内を離したくない気持ちも本物

後輩の恋人を横取りするようなことはしたくない。でも、ずっと隠すようにして来たこの感情を柿内の前で隠しておけない

「オレ、いいのか?お前のこと」
「最初から怒ってねぇよ・・・あんたと別れたって友達でいてぇっつーのは今でも変わってねぇし」
「・・・お前のその優しいところ、今のオレにはありがたいけど栗山は不安になんだろうなぁ」

柚木は笑う。かつては自分が不安だったように、きっと栗山も不安になるはず。素っ気ないフリして酷く優しい柿内。今、その優しさが栗山に向けられていると思うとやっぱり苦しいけれど、今までよりは楽になれる。友達というよりも深く愛している相手。もう会えない、連絡を取れないというよりは近い関係だから






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中幕60話までに終わりたい・・・じゃないと最終幕がすごく短く感じそうだから・・・でも、実際短いかもしれない

なんていうかね、なんていうか!柿内はもう前に進んでいるわけですよ。柚木が出てきてやったー!と思ったかもしれないけれど、柿内は栗山のこと大事にしてんの。えぇ。もうそれはそれは大事なんですよ。柿内って男は純粋で一途な奴なのよ。

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2018/04/03 Tue 00:31:58

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