FC2ブログ

青春はプールの中で12-59 - 04/26 Thu

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
1人残された部屋。今まで築いて来たもの全てが壊れた日。たった1日で大学を卒業してから築いて来たもの全てが壊れたのだ

たった1日で全部

「・・・」

もう何も判らない。何をしたらいいのかもどう呼吸するのかも

全てを失った春川は仕事に打ち込んだ。でも柿内にはその仕事もなくなった。まだ何日かは会社には行かなければならないけれど打ち込める仕事はない。だから今すぐに誘われている仕事をして全部忘れたい。でも、場所が場所だけに今すぐに身の回りを整えていくこともできない

いっそのこと壊れてしまいたかった

手に取った携帯の発信ボタンを押す

壊れてしまいたい。全てなくなったのだから自分もいなくなりたい。という欲求を抑える理性で自分を取り戻せる相手へ電話を掛ける

『おう。どーしたぁ?いきなり電話とか驚くわ』

耳に聞こえてくる声は柿内の理性の糸を繋ぎ止める。でも、言葉がどうしても出てこない。壊れた世界に置いてきてしまったかのように

「・・・も、ムリ」

絞り出すように呟いたその言葉は電話の向こうを慌てさせる

『どうした?!大丈夫か?今1人か?!』
「・・・」
『栗山はどうした!オレと電話してて平気か?』
「・・・柚木さん・・・っ・・・ゆずっ・・・きっ・・・さんっ」
『待ってろ。いいな?!待ってるんだ!何もしなくていい。何も考えなくてもいいからただ落ち着いてオレを待ってろ』
「っ・・・」
『いいな?柿内。何もしなくていい。どこにも行かなくていい。オレが今から行く。待ってろ』

きっと友人に裏切られていたことがわかったから親友だと思っている但馬に連絡はやめた。同じように今は友人だけれど誰よりも頼れる相手。それが柚木だから。本能が壊れそうな柿内を止めようと柚木に連絡をした。そう。本能が柿内を行動させた





柿内から連絡が来るとは思っていなかった柚木は食事の手を止めてすぐに新井に電話を掛ける

「あぁ、瑞樹?車が借りたい。うん。悪い。今すぐ」

電車の最終とか調べている余裕はない。ただ、あんなにも弱った柿内の声に不安で今すぐ行かなくてはいけない。そう思って部屋を飛び出した。酒を飲んでいなくて助かっただとか考えながらじっと待っていることができなくて新井が通る道を走る

「流ちゃーん!」
「瑞樹、急に悪かった」
「ううんー!でもどうし・・・え!待ってよ!」
「柿内ん所、急いでる」
「え!カッキー?!なんで!ちょ!今から1人とか・・・あーもーーー流ちゃんーーー」

運転席から引き摺り下ろされた新井は自分の車で走り去って行く柚木を仕方ないという表情で見送る

柿内絡みの事情では仕方ない。いつだって全力で走り回っている柚木だけれど柿内のことになると必死になってしまうことを学生時代から知っているから

「流ちゃん、頑張って」

新井の応援は夜の闇に消えて行く

「あー!!!車ない!オレどーやって帰るの?!あー!財布も車ぁぁぁ!!!」

新井は自分の状況にハッと気づいていつもの調子でそう叫んでポケットにあった携帯で恋人の但馬ではなく親友の江口に電話を掛けたのだった







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


にほんブログ村

さぁ、みんなで叫びましょう「流ちゃーーーーんっ!!!」

柿内がスパダリじゃなくて柚木もスパダリだったな
関連記事
スポンサーサイト



comment

コメントを送る。

URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する