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青春はプールの中で12-60 - 04/27 Fri

trackback (-) | comment (2) | 青春はプールの中で
ドンドンドンドン

夜の大きな音にはまだ慣れない。日に日に増える実家からの小言にうんざりして部屋を借りたのはいいけれど実家を出るまではなかった夜の静寂の中の大きな音

酒井は恐る恐るドアスコープで外を覗くと男の姿を確認してドアの前で足を竦ませた

「えりちゃん」
「え・・・」

知らない男かと思ったのに、どこかの酔っ払いだと思ったのにその声にドアを小さく開けて覗く

「・・・えりちゃん」
「ちょ、ホント?!」

やっぱりドアを叩いていたのは栗山で慌ててドアチェーンを外してドアを開ける

「どうしたの?!栗山く・・・え?」

すぐに抱きしめられてどうしたらいいかわからず硬直する酒井。恋人がいても栗山は男で、でも学生時代は一瞬でも付き合ったことがあって今でも密かに好きな相手で

「別れたよ」
「え?」
「別れ・・・っ・・・えりちゃーん!ヤダよぉ!オレ頑張ったけどヤダよぉー!」

酒井は迷っていた手で子どもをあやすように栗山の背中をポンポンと撫でる

今までずっと聞いてきた柿内の話。栗山がどれだけ柿内を好きなのか誰よりも知っていたし、同時に栗山は家の話も酒井に話していた

「うん。そっか。頑張ったよね」
「頑張った・・・でも、でもっ」
「うん」

栗山が家からどれだけプレッシャーをかけられているのか聞いてきた。酒井も結婚はだとか恋人はいるのかだとか将来のことはどうするつもりだとかあまりにもうるさくて家を出たからよく判る

「結婚するって・・・柿内くんに言った・・・でもムリ!ムリだよぉ!柿内くんと別れるのは頑張ったけど頑張っても結婚はヤダよぉ!お見合いに偏見じゃないけどオレ、好きになれるか判らない!愛せるか判らない!そんな人と結婚っ!ヤダぁー!!!」

酒井はひとつ深呼吸をすると栗山の背中を抱きしめる

「じゃあ、私と結婚しよ」
「え・・・」

あまりにも驚いて涙もピタリと止まってしまう

「・・・えりちゃん?」

冗談かと思ったのに酒井の顔を見つめると真っ直ぐ優しい顔をしていて栗山はフニャリと顔を歪ませてまた涙を流す

「えりちゃんカッコ良すぎるでしょ!それっ!」
「まぁ、私だったら浮気は許さないけど柿内さんのこと思い出したりたまに寝言で柿内さんの名前呼ぶくらいは許してあげられる」
「っ・・・ぅぅ」
「まぁ、私みたいなブスは結婚できないだろうし」
「バカ!えりちゃんは可愛いって何回言ったら判るの!!!」

ギュッと酒井を抱きしめる

柿内を失った喪失感が和らぐ気がして

「結婚してくれますか?」
「オレのセリフ全部取らないで!!!」
「アハハ。ごめんね。このセリフ柿内さんからじゃなくて私からで」
「っ・・・オレ、カッコつけてるけどダメ人間だよ?」
「知ってる」
「オレ、そりゃえりちゃんのこと好きだけど可愛いと思うけど柿内くんのことまだ暫く引き摺るよ?もしかしたらずっとかもだよ?!」
「判ってる」

栗山だって柿内が柚木を引き摺っていてもいいと思いながらも苦しかった。それを酒井にさせるというのに迷いを感じる

「私の前でカッコつけなくてもイイよ。ダメなところも柿内さんのこと好きなのもずっと見てきたんだし。今更だし」
「っ・・・」
「私に彼氏できなかったの、私の器量だけのせいじゃないの判ってる?!」
「・・・えりちゃんは可愛いのになんで彼氏できないのかなって思ってた」
「栗山くんがしょっちゅう連絡してきて柿内さんの話してくるから!私誰よりも栗山くん優先できたんだよ?!」

あぁ、そういえばいつだって付き合ってくれていた。と思いながら栗山は鼻を啜る

「オレ、なんか世界が終わった気がしてたけど始まった気もしてきた」
「相変わらず調子いいこと言って」
「ホント!確かにね!柿内くんのこと考えると悲しくて苦しくてもうダメだーってなるけどその代わりにえりちゃんがずっと傍にいてくれるって思ったら平気になってきた」

こんなにも女で良かったと思ったのは今が初めてだと思う。ホントは同性が好きだという栗山を見ていて何度なんで自分は男じゃないんだと悔やんだことか。でも、結婚して親を安心させたい。そんな栗山に選んでもらえるのなら1番じゃなくたってイイ。きっと2番目だって栗山は愛してくれるから

「またえりちゃんに恋していいですか」
「今度は信じていいですか」
「うん。ごめんね。ありがとう。よろしくね」

こちらこそ。そう酒井が言うと顔を見合わせてくしゃくしゃの笑顔で2人笑った








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酒井はイイ子なの。栗山を信じられなくて別れたのをずっと後悔しながら傍で栗山の苦しみも惚気も全部受け止めてきて、全部受け入れてきた子

あー!中幕長くても60話に収めるつもりだったのになぁーーーーっ!
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comment

: きよ @-
え~!水尾様!!私の頭の中 のぞき見しました?私に水尾様のテレパシー とんできていたのかなあ??
2018/04/27 Fri 18:39:19 URL
Re: タイトルなし : 水尾 央 @-
>きよ様
コメントありがとうございます^^
あぁ!もう繋がっちゃってるんですね!宇宙のどこかから交信を受けてしまったのですねw

というか、水尾、王道パターンすぎるのだろう・・・ともう少し捻らねば・・・と悔やんでいる所でございます
2018/05/03 Thu 23:50:21 URL

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