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青春はプールの中で13-3 - 05/07 Mon

trackback (-) | comment (0) | 青春はプールの中で
柿内が車で運べるだけの荷物を積んで柚木の部屋へやってきた時、本当に再び同居生活が始まるのだという実感が湧いてきた柚木

「あんま変わってねぇ・・・けどヤニ臭ぇ」
「ハハ・・・だよなぁ。そこは申し訳ないー」
「まだ吸ってたのか」

柚木は「もう、悪癖だな」と困ったように笑った

「柿内」
「あー?」
「寝てるか?」
「寝てるけど?」

すぐに嘘だと判る目の下のクマ

「食べてる?」
「なんだよ。食ってるよ。あんたじゃねぇんだから」

それも嘘だと判る窶れ具合

やっぱり柿内を無理にでもここに来させて正解だと思った

「あー、なんつーか、一応、一応な?今日はお前も運転と荷開きだとかで疲れっかなーって思ったから飯は作ってあるから・・・」
「あー・・・でも、オレ来る途中でメシ食ったし」
「・・・そりゃオレが作るより自分で作った方が美味いんだろうけど」
「いや、違う!そうじゃねぇって」

慌てた様子で柿内が首を振ると小さく舌打ちして頭を掻く

「・・・嘘吐いた。ホントは食欲まだねぇから」
「・・・あぁ」
「あとで少しだけもらう」
「おう」

柿内の嘘は最初から判っていたからわざと自虐的なことを言ったのだから

「柿内ー」
「あー?」
「気とか遣うのナシな?」
「はぁ?今更」
「あぁ、でもお前結局、前も気を遣ってただろ?だから、今回はメシも基本別々。干渉ナシ。な?」

柿内は少しだけ唸って考えたあとちらりとキッチンへ視線を移す

ここで一緒に暮らしていた頃とほとんど変わらないキッチン。違うのはゴミ箱から覗くコンビニ弁当のプラスチック容器がいくつも見えていること

「オレもこれからは毎日メシ作ることはできねぇけどストックは適当に作るからあんたもそれ、自由に食えよ」
「それじゃ」
「オレが気になんだよ!気ぃ遣うとか遣わねぇのかそういうんじゃなくて・・・別に今までだってあんたにメシ送ってたの気を遣ったわけじゃねぇ」

柚木はここが妥協点かと頷くとソファーへ腰を下ろす

「なぁ」
「あー?」
「話したくなったらなんでも話してくれていいから」
「・・・あぁ」
「無理に聞く気はないけど、いつでも話聞くから。そのために一緒に暮らそうって思ったんだし」

柿内は少し考えてソファーに腰を下ろす

「・・・葉月のことはまだ整理ついてねぇんだ」
「あぁ。そうだよな」
「けど、こっちはもう諦めたっつーか関わることもねぇから、聞いてくれるか?」
「バーカ。なんか言いたそうだからリラックスして聞くためにオレはソファー座ったんだっつーの!」
「そうか・・・」

柿内はひとつ目を瞑る。その横顔がとても大人びて見えて自分の知らないうちに随分大人になったのだと思い知らされる
確かに自分もあの頃よりも歳をとった。でも、記憶の中の柿内は当然記憶だから歳を取らなくて。実際再会した時も長いこと会っていなかったことを感じさせない程度だった。でも、今目の前の柿内は知らない柿内。合わなかったうちに知らない人になっていた柿内
ずっとずっと大人になって、イイオトコになった柿内

「仲の良かった同期がいてな・・・」
「うん」

柿内はもっと言葉遣いが悪かった気がする
やっぱり知らない。自分の知っている柿内ではない・・・

全て自分が離れなければ見ることができていたはずで、栗山はこの柿内を知っているのだと思うと嫉妬心で心がかき乱される

「それでな」
「うん」

相槌は打つけれど話なんて頭にしっかり入ってこない

知らない。柚木の知らない柿内。その同期の友人のことだって知らないし、上司のことだって知らない

知らない柿内の話ばかり。頭がぐるぐると高速回転しているのに全部エラー回答しか出てこないような感覚に柚木はひたすら戸惑った

会っていなかった年月は当然知らない柿内を形成してきたのを理解していたつもりなのに再会し、再び一緒に暮らすことで気持ち自体はあの頃に戻ってしまっていて知らない柿内の存在を心が否定しているようだった






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ゴールデンウイークはいかがでしたかー?!
水尾は楽しみすぎて(主に飲みすぎて)昨日の更新もすっ飛ばしましたー

あ、石投げちゃいます?投げ・・・ごめ・・・ごめんなさいーーー

今日からはあれです。また単調に仕事が始まるのでリズムを取りつつ更新頑張ります


多分最終章の筆が進まないのは最後の始まりだから。また関係が整ってくれば筆も淡々と進むと思うの。ここを乗り越えたらここを乗り越えなくちゃ!!!
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